中銀、信用状開設事前許可の対象品目を拡大

(パキスタン)

カラチ発

2022年07月19日

パキスタン中央銀行(SBP)は75日、信用状(L/C)開設にかかる市中銀行によるSBPの事前許可の取得義務対象品目を拡大した〔為替政策部(EPD)Circular Letter No. 11 of 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。HSコード第84類(原子炉、ボイラーおよび機械類)と第85類(電気機械類)の全ての品目が対象となった。

520日にこの規制(EPD Circular Letter No. 09 of 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が開始された際には、84類の7品目、85類の5品目、そして87類(鉄道用および軌道用以外の車両)の乗用車CKD(完全現地組み立て)部品の13品目、計25品目が対象だった。今回87類については、増減はなかった。

この規制では、企業の要請によりL/Cを開設するに当たり、市中銀行はSBPの許可を事前に取得しなければならないが、許可取得に非常に時間がかかっている。SBPは外貨準備高の減少を防ごうと、許可を遅らせており、その結果、520日の規制開始以降、企業の輸入オペレーションに大きな支障が生じている(2022年6月27日記事参照)。

日系企業の中で、特に苦境に立たされているのが自動車メーカーだ。もともと半導体不足などサプライチェーンの制約がある中で、この規制によってCKD部品がスムーズに輸入できないために、部品在庫がさらに逼迫している。主要紙ドーン(710日)は、トヨタの合弁生産販売会社インダス・モーターが518日から、韓国の起亜の合弁企業ラッキー・モーターが520日から一部車種について、また、スズキの四輪車、二輪車の生産販売子会社パックスズキモーターが71日から、それぞれ新規の受注を一時停止していると報じた。

パキスタンの2021/2022年度(20217月~20226月)の貿易収支は、通貨ルピー安や原油高などにより、482億ドルと記録的な赤字になった。SBPの外貨準備高は、2022630日時点で981,000万ドルまで減少し、一般的な必要額の目安とされる輸入額の3カ月分を割り込み、約1.5カ月分となっている。

(山口和紀)

(パキスタン)

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