ドイツのエネルギー大手ユニパー、ロシアのガスプロムに損害賠償求め、仲裁手続き開始
(ドイツ、ロシア、フィンランド)
デュッセルドルフ発
2022年12月09日
ドイツのエネルギー大手ユニパーは11月30日、ロシア国有ガス会社ガスプロムの輸出部門ガスプロム・エクスポート(GPE)に対し、仲裁手続きを開始したと発表した。6月以降、GPEとの契約にもかかわらず供給されなかったガス量に関連して、ユニパーが被った損害の賠償を請求する。仲裁手続きはストックホルムで行われる。
GPEは6月に天然ガス供給量を減らした後、9月に入ると完全に供給を停止した。その結果、ガス価格が高騰すると同時に、ユニパーは顧客に対する供給義務を果たすため、ロシア産以外の代替ガス調達の追加資金が必要となっていた。ユニパーが追加調達にかけた費用は11月末までで最低116億ユーロとされ、2024年末までさらに膨らむ見通し。
政府によるユニパー救済措置を臨時株主総会で説明、国の出資は最大330億ユーロに
ユニパーは7月8日、連邦政府に対して救済措置を申請し(エネルギー大手ユニパーが政府に救済申請、ブラック)、同月22日に政府とユニパーの主要株主のフィンランド電力大手フォータムの3者間で、ユニパーの救済措置に合意した(関連ブラック ジャック トランプ)。9月21日には政府によるユニパーの国有化が決まった(関連ブラック ジャック 遊び方)ため、7月22日の合意内容が改められた。また、ドイツ復興金融公庫(KfW)による2022年1月4日当初の20億ユーロの与信限度枠についても、現在の180億ユーロまで徐々に拡大されている。
ユニパーは12月19日に臨時株主総会を開いて、政府による救済措置について株主の承認を得る予定。天然ガスの賦課金導入の取りやめ()のため、救済措置の内容が若干調整された。
12月19日の臨時株主総会で株主に説明する政府の救済措置とは、まず、9月に国有化スキームの一環で合意した80億ユーロ規模の支援により、政府が1株当たり1.7ユーロで株式を取得するほか、フォータムが保有する株式も1株1.7ユーロで取得する予定であることだ。一方、ガス賦課金が導入されないため、80億ユーロの資本注入ではユニパーの財政安定には不十分なことから、追加支援として最大250億ユーロの資本注入の計画も加わる。すなわち、ユニパーへの国の資本注入は80億から最大330億ユーロに拡大ということだ。250億ユーロはロシア産以外の代替ガス購入の追加資金が必要になる2022年、2023年、2024年に予想される損失を部分的だが回復させる資金源となる。具体的には、250億ユーロは新株発行を通じてユニパーに流入させる。新株は複数回に分けて発行することとし、2022年末までに1回目の新株を発行し、新株も1株1.7ユーロとする。これを政府または国の事業体が取得するという手法だ。
(ベアナデット・マイヤー)
(ドイツ、ロシア、フィンランド)
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