ドイツ交通省、2030年に電気トラックが国内新規登録商用車の半数以上との予測示す
(ドイツ)
ミュンヘン発
2022年11月28日
ドイツのデジタル・交通省は11月17日、「環境にやさしい商用車の総合計画に関する進捗報告書」と題した報告書を公表した。連邦政府は2019年に発表した「気候保護プログラム2030」の中で、2030年までにトラックなど重量物輸送の約3分の1を電気などの動力にすることを目標に掲げていた(2020年11月19日記事参照)。今回公表された報告書は、その目標達成に向けて、2020年11月に公表した「環境にやさしい商用車の総合計画」の取り組みの進捗状況を検証、今後の見通しなどを示したものだ。
本報告書によると、デジタル・交通省は複数の商用車メーカー(注)にヒアリングを行った結果、12トン以上の大型商用車では今後、電気トラックや燃料電池トラックが急増し、2030年には約4分の3を占めるとした。具体的には、2030年の国内商用車新規登録台数に占めるシェアは、電気トラックが56%、5万7,800台となる。燃料電池トラックは17%の1万7,200台で、水素エンジントラックは1%の1,250台。一方、ディーゼル車などの内燃機関搭載トラックは26%の2万6,500台となる見込みだ。商用トラックの将来の動力源が電気になるか水素(燃料電池)になるかは、メーカーによって見方が異なっていた(2021年5月17日記事参照)。本報告書によると、主要メーカーは2030年の市場の半分以上を電気トラックが占めると見ており、動力源は電気に分があることになる。
また報告書は、(1)電気トラック・燃料電池トラックなどの導入、(2)充電・充填(じゅうてん)インフラなどの拡充、(3)関連法規・ルールなどの整備、を今後も同時並行で進めることが重要と指摘した。(2)については、連邦政府が2022年10月に閣議決定した「充電インフラ・マスタープランII」の一環として、電動トラック向け充電インフラの拡充も進めている(2022年11月1日記事参照)。(3)については、欧州議会が2022年10月、「代替燃料インフラ規則案(AFIR)」の修正案を採択した(2022年10月20日記事参照)。同修正案はEUの加盟国に対して、汎欧州運輸ネットワーク(TEN-T)沿いに一定間隔ごとにトラック向け充電インフラと水素充填インフラの設置を義務付けており、関連法規の整備により、さらなるインフラの拡充を目指す。
(注)ヒアリングの対象となった商用車メーカーは、12トン以上のトラックの商用車市場の90%以上を占める。デジタル・交通省によると、ヒアリング結果の詳細は2022年末に公表される予定。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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