トラックのCO2削減を目指す「商用車会議」を開催

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年11月19日

ドイツ交通・デジタルインフラ省(BMVI)は11月11日、「商用車会議」を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。政府、業界団体、メーカーが、国全体の二酸化炭素(CO2)削減目標のうち、重量物輸送部門に課された目標をどのように達成すべきかを議論し、BMVIは低排出商用車の導入促進に向けた政策案を提示した。

会議には、ドイツ自動車産業連合会(VDA)、連邦貨物・物流・廃棄物連合会(BGL)などの業界団体のほか、ダイムラー、ボルボ、イベコなどのトラックメーカーが参加した。また、連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)などのエネルギー供給側の団体も、議論に参加した。

ドイツは2019年、「連邦気候保護法」を施行、その中で、2030年の交通・運輸部門におけるCO2排出量を1990年比で42%削減することを決めた。BMVIによると、交通・運輸部門のCO2排出量の約3割がトラックなど重量物輸送によるものだという。また、連邦政府は2019年に発表した「気候保護プログラム2030」の中で、2030年までにトラックなど重量物輸送の約3分の1を電気などの動力にすることを目標に掲げる。

2020年1月時点で、ドイツ国内のトラックは約330万台で、うち9割以上をディーゼル車が占める。BMVIは、会議に合わせて発表したコンセプトペーパーの中で、(1)電気トラック、(2)燃料電池トラック、(3)ハイブリッド・トロリートラック(注)などが代替となるとしている。ただし、BMVIはどの動力もそれぞれ長所と短所があり、条件に応じて適切に導入されるべきとして、どの動力が主流となるかは示していない。

BMVIは、ディーゼルに比べて、代替動力の車両価格が高い点を指摘し、CO2排出量が少ない商用車を購入した場合、その購入価格がディーゼル車の購入価格を超えた分の8割を助成する案を提示した。またBMVIは、代替動力のトラックが増える前提として、充電・充填(じゅうてん)ステーションの整備が必要だとした。VDAのヒルデガルト・ミュラー会長は「ドイツのみならず、欧州全体でのステーション整備が必要だ」とコメントしている。加えて、BMVIは、代替動力普及整備のため、トラックなどの大型車両を対象とした通行料をCO2排出量に応じて設定する案を提示した。

(注)高速道路などに敷かれた専用電線の下では電線から電気を得、専用電線がない場所では蓄電池からの電気またはディーゼルを動力源として走行するトラック。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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