自動車部品シェフラー、車両電動化の影響で従業員1,300人を削減予定
(ドイツ)
ミュンヘン発
2022年11月16日
ドイツ自動車部品大手のシェフラーは11月8日、自動車技術部門の人員を1,300人削減すると発表した。車両の電動化によって関連の売り上げが伸びる一方、内燃機関搭載車向けのニーズが減少傾向にあり、利益を出せる体制を整えるため、固定費削減が必要と判断したもの。
具体的には、自動車技術部門の人員を、ドイツ国内で1,000人、国外で300人削減する。削減は自動車技術部門の中の主としてエンジンやトランスミッション、ベアリング分野の人員が中心。4分の3が管理部門とエンジン研究開発部門、残りの4分の1が生産部門の予定。2026年末までに実施する予定で、これにより年間で最大1億ユーロのコスト削減となる。シェフラーの全従業員数は現在、約8万3,000人だ。
同社は人員削減の理由として、(1)自動車の電動化で内燃機関搭載車向け部品の生産が過剰となっており、その対応が必要、(2)自動車メーカーが内燃機関搭載車向けの研究開発を縮小しており、同社もその対応が必要、(3)生産部門・管理部門のいずれも、固定費を削減し、効率的な体制を整えることが重要という点を挙げた。同社は従業員代表と協議し、整理解雇以外の方策での人員削減を模索するとしている。
人員削減を進める一方で、同社は電気自動車(EV)関連の投資へは積極的だ。バイエルン州ニュルンベルク近郊のヘルツォーゲナウラッハにある同社本社では、EV用部品・システムへの対応を進めるほか、水素関連研究施設を拡充する。また、バーデン・ビュルテンベルク州シュトゥットガルトの西約95キロにある同社ビュール工場への投資も2022年8月に発表済みだ。同工場は電気モーター製造のマザー工場に位置付けるほか、EV向け研究開発拠点として拡充。総額5,000万ユーロを投資し、2024年秋に完成する予定だ。同社は2022年1~9月、EV関連部門が前年同期比28.4%増(為替調整後)の売上高を達成、関連受注高は47億ユーロに上ったという。
ドイツでは、乗用車の電動化によって、「欧州で2040年までに、主として内燃機関搭載車などに使われる部品関連で約58万人の雇用が失われる」(2021年6月9日記事参照)、「2025年までに少なくとも17万8,000人、2030年までに少なくとも21万5,000人の雇用に影響が出る」(2021年5月31日記事参照)などの研究結果が発表されている。自動車メーカーは国内工場の電動化を進めており(2020年12月1日記事、2021年3月23日記事参照)、自動車部品メーカーも電動化への対応が不可避となっている。
(高塚一)
(ドイツ)
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