BMW、EV移行のためミュンヘン工場に4億ユーロ投資
(ドイツ)
ミュンヘン発
2020年12月01日
ドイツ自動車大手のBMWグループは11月18日、電気自動車(EV)への移行を進めるべく、総額4億ユーロをかけてミュンヘン工場に組み立てラインを新設すると発表した。2026年までに現在エンジン生産を行っている場所に組み立てラインを新設する。ミュンヘン工場はEV生産を主軸とする方向を明確にし、効率的で競争力のある生産体制を整える。
一方、これまでミュンヘン工場で行っていたエンジン生産は他国にある工場に移管、全体で生産性を高める。この効率化により、2021年末までに5億ユーロの固定費削減を目指す。これ以外のBMWグループの欧州の内燃機関(エンジン)生産についても、遅くとも2024年までにオーストリアのシュタイアー工場と英国のハムスホール工場の2工場に集約する。
また、生産体制の再編成に合わせた従業員の配置転換や、製造ネットワークの構築などを進める。ミュンヘン工場でエンジン製造に携わっている従業員はミュンヘン工場内の他部門、またはバイエルン州内の他工場で働く。例えば、ミュンヘンの北東約100キロにあるディンゴルフィング工場にあるEV用駆動生産コンピテンスセンターでは従業員1,000人が働くが、これを2,000人に倍増させるという。BMWのイルカ・ホルストマイヤー人事担当役員は「BMWの従業員は変化に対応できることをあらためて証明する」とした。同社では2009年以来、5万人以上の従業員がEVに関する研修を受講済みという。
BMWは、(1)EV・デジタルへの移行、(2)工程と構造の効率化、(3)製造・物流における持続可能性に重点を置き、製造ネットワークの構築を進めており、これらの措置は(1)と(2)の戦略に基づく。ドイツ国内工場でのEV生産拡大を進め、2022年末までに全ての国内工場で最低1モデルの純EVを生産する。また、EV用駆動の製造能力も拡大する。(3)の製造・物流における持続可能性については、自動車の1台当たりの製造工程での二酸化炭素(CO2)排出量を2019年比で2025年までに4割、2030年までに8割削減する。また、2020年中に世界中のBMWの工場で使用する電気を全て再生可能エネルギーとするほか、生産工程で使用する水や溶剤、ガス、電力を継続的に削減するとしている。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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