ドイツ機械工業連盟、乗用車電動化の将来動向と自動車産業全体への影響を予測

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2021年06月09日

ドイツ機械工業連盟(VDMA)は5月5日、2040年までの世界における乗用車電動化の流れと、それが部品販売と雇用に与える影響を予測した調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同調査によると、2040年に全世界で販売される乗用車(小型商用車を含む)の予測台数は1億2,800万台で、うち内燃機関車は7,100万台(シェア:55.5%)、電気自動車(BEV)は4,300万台(33.6%)、燃料電池車(FCV)は1,400万台(10.9%)。内燃機関車は2019年比で16.5%減となる。特に、欧州市場では二酸化炭素(CO2)排出規制強化などで、2040年には内燃機関車の新車販売がなくなる可能性があるとした。

2040年の部品販売予測としては、変速機や排気系部品など、主として内燃機関車などに使われる部品の全世界での販売合計額は126億ユーロと、2019年比で約8割減少とするとした。中国での販売額増加が見込まれる一方、米国と欧州での落ち込みが大きいためで、特に欧州では約8割減少すると見込む。他方、蓄電池関連部品、電気モーター、パワーエレクトロニクスなど、主としてBEVなどに使用される部品は、2019年比9.2倍の757億ユーロに拡大する。

VDMAは、機械・生産設備関連企業のビジネスチャンスとして、蓄電池生産の上流である蓄電池セル用原料の加工、または、下流である蓄電池リサイクルの分野を挙げた。また、BEVやFCVの増加に伴って必要となる充電・水素充填(じゅうてん)施設などのインフラ整備関連にも可能性があるとした。

また同調査によると、電動化の雇用への影響は、欧州では2040年までに、主として内燃機関車などに使われる部品関連で約58万人の雇用が失われるとした。電動化などで新たに約42万人の雇用が創出されるものの、全体では縮小する。ifo経済研究所も2021年5月、電動化がドイツ国内の雇用に与える影響については、2030年までに少なくとも21万5,000人、うち直接、自動車産業に関わる16万5,000人に影響が出るとの調査結果を発表した(ifo経済研究所、ブラック ジャック)。こうした電動化を受けた雇用減の予測に対して、自動車部品大手のコンチネンタルは2021年6月4日のプレスリリースの中で、「ドイツは大きな課題に直面している」とし、同社が2019年から1,000人以上の従業員に対し他の職種へ転換できるよう再教育を行ったという取り組みを紹介するとともに、政府などにもより一層の適切な対応を求めている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

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