1~9月の乗用車生産、前年同期比でプラス成長に
(チェコ)
プラハ発
2022年10月25日
チェコ自動車工業会の10月18日付発表によると、2022年1~9月の国内乗用車生産台数は91万3,148台で、前年同期比9.8%増大した。上半期の前年同期比8.5%減(2022年7月22日記事参照)から、プラスに転じた。5月以降は前年同月を上回るペースで生産が続き、6月と8月はともに、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の同月の水準も上回った(添付資料図参照)。9月の生産台数は11万1,374台で、2019年、2020年の水準は下回ったが、2021年比では98.3%増となった。同工業会はその要因を、部品、特に半導体チップのサプライチェーンの混乱が回復に向かっていること、および前年の水準が低かったことによるものと説明した。2021年は5月以降、半導体チップ不足の影響で、製造が徐々に減少していた。同工業会のマルチン・ヤーン会長は「サプライチェーン問題の影響が続く中、ここ数カ月ポジティブな傾向が維持され、乗用車生産台数が(1~9月で)前年同期比9.8%増加したことは吉報」と評した一方、2021年の実績の低さによることを考慮する必要がある旨を指摘した。
1~9月の実績をメーカー別にみると、最大メーカーのシュコダ・オート〔フォルクスワーゲン(VW)グループ〕の生産台数は51万3,508台で、前年同期比で0.2%減少した(添付資料表参照)。一方、トヨタモーター・マニュファクチャリング・チェコ(TMMCZ)の生産台数は15万6,740台で、42.4%増と大きく増えた。自動車工業会によると、TMMCZの生産のほぼ半数をハイブリッド車が占める。また、現代チェコの生産台数は17.2%増の24万2,900台で、堅実な伸びを示した。
1~9月の電動車の生産台数は、バッテリー電気自動車(BEV)が6万3,255台、プラグインハイブリッド車(PHEV)が3万5,382台、合計で9万8,637台だった。全生産台数に占める電動車の割合は上半期の10.5%から10.8%に微増した。うち、シュコダ・オートが5万1,875台(同社の生産台数の10.1%)、現代チェコが4万6,762台(19.3%)を占めた。シュコダはBEVが多く、BEVとPHEVの割合が4対1となっているのに対し、現代はBEVとPHEVの生産台数がほぼ均等している。
同工業会のヤーン会長は、高騰するエネルギー価格が引き続き課題で、政府の支援策が今後の鍵を握ると指摘。「政府はいくつか措置を発表したが(2022年9月22日記事、2022年10月7日記事参照)、多くの中・大企業向けの対策が明確に定められてない。自動車産業のように統合的な部門においては、効果的な支援がない状態で、重要なサプライヤーが1、2社停滞すれば、サプライチェーン全体が停止する危険性がある」と警告した。
(中川圭子)
(チェコ)
ビジネス短信 7f2fb5713fbff878