政府が2023年1月から中小企業向けにエネルギー価格の上限設定
(チェコ)
プラハ発
2022年10月07日
チェコ内閣は10月5日、世帯・中小企業等向けの支援策として、エネルギー価格の上限を定める政令を決定した。
世帯・個人事業者・小規模企業などの小口需要家(ガス)と低圧需要家(電気)に対しては、9月12日に上限価格設定措置を発表済み(2022年9月22日記事参照)。今回の政令は、同措置のとおり電気1キロワット時(kWh)当たり6コルナ(約35円、1コルナ=約5.8円)、ガス同3コルナを上限と定める(VATを含む、送電網と送導網の使用料は含まれず)。
同政令は小口または低圧の需要家の条件を満たしていない中小企業(注)向けの支援策については、以下のように定めている。
- ガスについては、年間消費量が630メガワット時(MWh)以下の場合、上述の上限価格を適用する。年間消費量が630MWhを超える場合には過去5年間の最大消費量の80%までに対してのみ上限価格を適用する。年間消費量が4,200MWhを超える企業には上限価格は適用しない。
- 電気については、過去5年間の最大消費量の80%に対してのみ上限価格を適用する。
80%の条件設定について、ペトル・フィアラ首相は、企業の省エネ意識の喚起を目的としたもので、「企業が節約に努めて消費量をこれまでより低い水準に抑えれば、その全消費量に上限価格を適用し得る」と説明している。
この上限価格制度は2023年1月1日から12月31日まで適用するが、必要と判断した場合は延長する。制度の適用を受けるための消費者・企業側の手続きは必要なく、エネルギー事業者が請求時に反映する。
財務省は予算総額を1,300億コルナと見積もっている。その財源は現状から高利益を上げた一部の企業を対象とした超過利潤税収導入による歳入を見込んでいる。首相は「超過利潤税はEUの最終決定を待って、今秋に法整備を予定。現在のところ、歳入額は1,000億コルナと見積もっている」と説明している。
なお、大企業向けの支援策に関しては、9月14日に内閣が補助金制度の概要を公表したが(2022年9月22日記事参照)、その後、詳細を発表していない。フィアラ首相は「大企業に対する平等な対応をEU全体で創造する必要がある」と慎重な姿勢を示している。
(注)従業員数250人未満、かつ年間売上額5,000万ユーロ以下の企業
(中川圭子)
(チェコ)
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