産業通商資源部、米半導体支援法・インフレ削減法の対応に向け高官派遣へ
(韓国、米国)
ソウル発
2022年08月26日
韓国産業通商資源部は8月25日、半導体や自動車、バッテリー業界(注1)との懇談会を開催し、米国の「CHIPSおよび科学法」(CHIPS and Science Act、2022年8月10日記事参照)と「インフレ削減法」(Inflation Reduction Act、関連ブラック ジャック ディーラー)に関し、韓国産業界に及ぼす影響や対策について議論したと発表した。
懇談会を主宰した李昌洋(イ・チャンヤン)長官は冒頭、CHIPSおよび科学法、インフレ削減法について、「CHIPSおよび科学法におけるガードレール条項(注2)やインフレ削減法(注3)における電気自動車(EV)補助金要件など、韓国の産業界にとって負担となる内容が含まれ、米国にEVを輸出している韓国、ドイツ、日本も懸念が大きいことから、官民が協調して対応策を講じることが必要」と強調した。
産業通商資源部は、産業界の懸案について、米国の政府や議会、ホワイトハウスなどに対して積極的に働きかけを行う計画だ(注4)。また、WTOや韓米の自由貿易協定(FTA)など国際法との齟齬(そご)について引き続き精査を行い、類似の立場のEUなどとも協調することを検討しているとした。さらに、9月中に安徳根(アン・ドックン)通商交渉本部長を米国に派遣し、米国側と協議する計画だ。
「聯合ニュース」(8月18日付)は、米国で購入補助金の対象となっているEV72モデルのうち、インフレ削減法の支援が受けられるモデルは21モデル、残りの51モデルは適用除外で、適用除外のモデルの中には、「アイオニック5」(現代自動車)や「EV6」(起亜)が含まれていると報じている。
(注1)産業界からは、サムスン電子、SKハイニックス、現代自動車、起亜、LGエネルギーソリューション、サムスンSDI、SKオン、韓国半導体産業協会、韓国自動車産業協会、韓国電池産業協会が参加。
(注2)米国内で半導体への新規投資を行う企業は財政支援や税額控除の恩典が享受できる一方、恩典を享受した企業は、ガードレール(guardrail)条項により、中国や懸念国での新規投資が禁止される。
(注3)北米で組み立てられたEVがバッテリー鉱物、部品に対する一定の比率要件を満たした場合、EV1台当たり最大7,500ドルの支援が受けられる。
(注4)韓国政府は8月9日に米商務長官に宛て、ガードレール条項の適用除外に関する継続協議を求める書簡を送付済み。
(当間正明)
(韓国、米国)
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