第2次ボルヌ内閣が発足、野党取り込めず厳しい政策運営か
(フランス)
パリ発
2022年07月06日
フランス大統領府は7月4日、第2次エリザベット・ボルヌ内閣の閣僚名簿を発表した。総勢42人(首相、大臣16人、担当大臣15人、副大臣10人)の閣僚のうち女性は21人で、第1次ボルヌ内閣(関連カード ゲーム ブラック)に続き男女同数を維持した。
6月の国民議会選挙で落選した3人の閣僚()と性暴力疑惑が浮上したダミアン・アバット連帯・自立・障害者相が解任された。一方、エコロジー移行・国土結束相に与党「ルネッサンス」と連立を組む右派政党「オリゾン」のクリストフ・ベシュ前地方自治体担当相を昇格させるとともに、同じくルネッサンスと連立を組む中道政党「民主運動(MoDem)」からデジタル移行・テレコム担当相にジャン=ノエル・バロ氏、障害者担当相にジュヌビエーブ・ダリューセック氏を入閣させるなど、連立与党の結束を固める人事となった。
右派野党・共和党から人材を起用する動きが伝えられたが、結局、野党からの人材登用はみられず、連立与党は国民議会で過半数を確保できないまま政策運営に臨むことになる。議会運営のカギを握る国会関係担当相にはエマニュエル・マクロン大統領を支持して共和党から分裂した右派中道政党「アジール(行動する)」の党首で議員として経験が長いフランク・リステール前貿易・魅力担当相が任命された。
民間人の起用では、保健・予防相に現職の救急医でマクロン大統領の要請により救急医療体制強化に関わる報告書を作成したフランソワ・ブローヌ氏を、連帯・自立・障害者相にはフランス赤十字社のジャン=クリストフ・コンブ事務局長を抜擢した。また、都市・住宅担当相や地方自治体担当相には地方都市が抱える問題に詳しい市長経験者をそれぞれ任命した(7月4日付と5日付「レ・ゼコー」)。
今回の内閣人事について、野党勢力からは批判の声が上がっている。急進右派・国民運動のマリーヌ・ルペン氏は自身のツイッターで同日、「失敗した者が全員留任となった。大統領は選挙による審判と(これまでとは違う)別の政治を求める国民の意思をあらためて無視した」と発言した。急進左派・不服従のフランスは7月6日にもボルヌ内閣不信任案を国民議会に提出する意向を確認した(不服従のフランス所属のマチルド・パノ議員の7月4日付ツイート)。
ボルヌ首相は7月6日、施政方針演説を行う予定だ。
(山崎あき)
(フランス)
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