ボルヌ新内閣が発足、家計支援策に取り組む方針示す
(フランス)
パリ発
2022年05月25日
フランス大統領府は5月20日、エリザベット・ボルヌ新内閣の閣僚名簿を発表した。首相を含めた総勢28人の閣僚(副大臣も含む)のうち女性が14人となり、男女同数の内閣を維持した。
内閣人事では国民教育・青少年相に米国の人種的マイノリティを専門とする歴史学者でセネガル人を父親に持つと報じられるパップ・ヌディアイ氏を起用し、連帯・自立・障害者相に右派野党・共和党出身で自身も障害を持つダミアン・アバッド氏を任命して注目を集めた。しかし、ジャン・カステックス前内閣の閣僚経験者が15人と多く、経済・財務・産業・デジタル主権相(前内閣では経済・財務・復興相)、内務相、司法相の主要ポストは再任されるなど、全般的に政策運営の継続性を印象付ける人事となった。
エマニュエル・マクロン大統領が2期目の優先政策課題に掲げる環境問題については、地方における気候変動対策の実施を後押しするエコロジー移行・国土結束省と、化石燃料からの脱却を推進するエネルギー移行省を設け、エコロジー移行・国土結束相にアメリー・ド・モンシャラン前公共変革・公務員相、エネルギー移行相にアニエス・パニエ=リュナシェ前産業担当相を任命した。
欧州・外務相にはジャン=イブ・ル・ドリアン氏に代わり、ジャック・シラク右派政権で政府報道官、欧州担当相を歴任したカトリーヌ・コロナ氏が起用された。
5月23日に行われた初閣議後の記者会見でオリビア・グレゴワール政府報道官は、新内閣の優先政策課題として教育、医療、環境の3つを挙げるとともに、足元の物価上昇への対応として「国民全員の収入を増やすことを可能にする家計支援に関わる法案」を6月12日に行われる国民議会選挙前に閣議決定する方針を明らかにした。
ボルヌ首相は5月20日、民放テレビ局TF1のニュース番組に出演し、ガスや電気代などエネルギー価格抑制措置の継続や食料クーポンの配布、年金や社会手当の引き上げなどを含む家計支援措置の実施を予告していた。
(山崎あき)
(フランス)
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