2022年のGDP成長率を2.3%と予測、インフレ率は9月に6.8%へ
(フランス)
パリ発
2022年06月30日
フランス国立統計経済研究所(INSEE)は6月24日、2022年通年の実質GDP成長率見通しを2.3%とした。2022年第1四半期は、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大に対応した規制やウクライナ侵攻による物価上昇の影響などから、実質GDP成長率が前期比で0.2%縮小していた。
INSEEは今回の景気報告で、第2四半期は、新型コロナウイルス関連規制の緩和を受けた宿泊・外食サービスの持ち直しなどから、実質GDP成長率は前期比0.2%とプラスの伸びを取り戻し、第3四半期、第4四半期もそれぞれ前期比0.3%の安定した成長を続けると見通した。
2022年通年の実質GDP成長率への寄与度をみると、内需(在庫変動を除く)が2.2ポイントと景気を牽引し、外需(純輸出)は輸出の伸びが輸入の伸びを上回り、GDP成長率を0.1ポイント押し上げると予測している。
一方で、景気の下振れリスクについてINSEEは、ウクライナ侵攻の長期化に伴う対ロシア経済制裁の強化とそれに対するロシアの報復措置が、エネルギー、農産物など原材料価格の上昇を通じ国内の物価上昇と原材料の調達難に拍車をかける懸念があると指摘した。また、世界のバリューチェーンに影響を与え得る中国の新型コロナウイルスの感染状況のほか、国内では物価上昇と(政府が今夏に実施を目指す)購買力支援措置に対する家計の反応を慎重にみていく必要があるとした。
消費者物価指数の上昇率は、5月に前年同月比で5.2%を記録した(6月24日付INSEE発表)。価格上昇は、エネルギー、食品、工業製品のほか、法定最低賃金引き上げ(2022年4月20日記事参照)の影響などから、サービス料金にも波及しており、6月はさらに5.9%、9月は6.8%まで上昇し、12月まで6.5~7.0%の高い水準で安定すると見通した。
なお、INSEEは政府が既に導入しているガスの規制価格凍結(2021年10月~)、電力規制価格の上昇率の制限措置(2022年2月~)、ガソリン・軽油価格割引制度(2022年4月~、2022年3月17日記事参照)の効果について、こうした一連の価格抑制策がなければ5月の物価上昇率は前年同月比で7%を超えていたと試算した。
(山崎あき)
(フランス)
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