3月の消費者物価は過去30年で最大の伸び、5月から最低賃金引き上げ

(フランス)

パリ発

2022年04月20日

フランス国立統計経済研究所(INSEE)が4月15日に発表した消費者物価指数(確定値)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年3月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比4.5%(前月比1.4%)と過去30年間で最大の伸びとなった。

ウクライナ情勢をめぐるエネルギー価格の高騰などから、ガソリン価格が前年同月比で30.5%、軽油が43.6%、ガスが41.3%の大幅上昇になった。食品では生鮮食品が7.6%と前月の5.9%から伸びを強めたほか、工業製品(2.1%)、サービス(2.3%)も2カ月連続で2%を超える上昇が続いた。

スーパーマーケットなど大型小売店における日用消費財も、3月は前年同月比で1.6%値上がりし、2月の1.0%、1月の0.7%から加速した。食品価格(生鮮食品を除く)は1.9%で、中でも食肉価格は2.6%の大幅値上げとなった。

INSEEの発表を受け、労働・雇用・社会復帰省は4月15日、法定最低賃金を2022年5月1日から2.65%引き上げると発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。フランスでは、法定最低賃金に物価スライド制が採用されている。2022年1月に0.9%引き上げられたばかりだが、3月は低所得者層(収入が下位20%の世帯)の消費者物価指数が、前回の改定基準となった2021年11月の指数に比べ2%を超える上昇率を示したことから、自動的に引き上げられる。

法定最低賃金は、5月1日から額面で月額1,645.58ユーロ(手取り1,302.64ユーロ)、時給で10.85ユーロとなる。2021年10月にもエネルギー価格の上昇から2.2%の引き上げが行われており、2021年5月からの1年間で5.9%、額面で月当たり91ユーロ(手取り72ユーロ)引き上げられることになる。

INSEEの3月16日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、民間企業の平均給与額は2021年に前年から6.4%増加しており、2022年も給与上昇の動きは続くとみられる。INSEEが1月に実施し3月に発表した調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、新型コロナ危機後の急激な景気回復により人手不足が深刻化する建設、食品、陸上輸送、外食・宿泊産業などの業界を中心に、賃上げ圧力が高まっている。

レストラン・バー・ホテル業界は2022年1月、産業レベルの労使交渉で平均16.33%の賃上げで合意(「レゼコー」1月18日)。ホテル・レストラン事業者団体GNI によると、2022年4月から同業界の最低賃金(資格、業務内容、勤続年数などにより異なる)を額面で時給10.57~21.83ユーロから11.01~27.00ユーロに引き上げていた。

(山崎あき)

(フランス)

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