欧州委、新型コロナの新ワクチンと治療薬3件を承認、ファイザー経口薬の緊急使用も容認
(EU)
ブリュッセル発
2021年12月22日
EUの医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は12月20日、米国バイオ医薬品企業ノババックスが開発した新型コロナウイルスワクチンの条件付き販売承認を勧告した。欧州委員会は同日、これを承認した。EUでの新型コロナワクチンの販売承認は、mRNAワクチンの米国ファイザー・ドイツのビオンテックと米国モデルナ、ウイルスベクターワクチンの英国アストラゼネカと米国ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセンファーマ)に続いて5件目で、組み換えタンパクワクチンとしては初となる。欧州委は既にノババックスと事前購入契約を締結しており(関連ブラック クイーン ブラック)、その第1弾として、2022年第1四半期(1~3月)に約2,700万回分を受け取る予定としている。
EUでは、ブースター接種の推進に伴うワクチン需要が高まっており、欧州委は12月16日、モデルナからワクチンの早期供給を受けることで合意したと発表。まず、ドイツへ12月中に1,000万回分(ブースター接種は半分の使用量のため、ブースター用としては2,000万回分)のワクチンの早期供給を行い、2022年第1四半期にも追加で2,500万回分(ブースター用としては5,000万回分)を受け取る予定とした。また、ファイザーとも、欧州委は19日、同四半期に2,000万回分のワクチンの追加供給を受けることで合意。これにより、同四半期に同社から合計2億1,500万回分の供給を受けることになった。さらに、事前購入契約に基づく追加購入権を行使することも決定している。2022年第2四半期(4~6月)から、既に契約済みの4,500万回分に加えて、2億回分以上を受け取る予定とし、開発状況によっては、オミクロン型変異株に対応したワクチンになるとした。
ファイザーの経口薬は加盟国判断で利用可能に
欧州委は12月に入り、新型コロナウイルス感染症の治療薬も立て続けに承認している。EMAは入院中の重症患者向けの免疫調整薬として、12月6日にスイス製薬大手ロシュの「ラクテムラ」(トシリズマブ)、16日にはスウェーデンのバイオ製薬スウェディッシュ・オーファン・バイオビトラムの「キネレット」(アナキンラ)について、それぞれ承認した治療用途を拡大し、新型コロナウイルス感染症を含めるべきと勧告。また16日には、英国製薬大手グラクソ・スミスクラインと米国ビール・バイオテクノロジーが開発した感染初期の治療に利用されるモノクローナル抗体薬「ゼビュディ」(ソトロビマブ)の承認も勧告。欧州委はその後、これらの治療薬を全て承認した。これにより、11月に承認されたロシュの「ロナプリーブ」と韓国セルトリオンの「レッキロナ」と合わせて(欧州委、ロナプリーブなど新型コロナ治療薬2件を販売ブラック)、2021年内に5件の治療薬を承認するとの目標を達成したかたちだ(2021年10月27日記事参照)。
また、EMAは16日、ファイザーが開発した経口抗ウイルス薬「パクスロビド」についても、承認勧告には至っていないものの、加盟国による緊急使用などを容認する意見を発表した。これは、米国メルクの「モルヌプラビル」に適用した手続きと同一のもので(関連ブラック ジャック ランキング)、今後、加盟国の判断で使用が開始するとみられる。
(吉沼啓介)
(EU)
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