米カリフォルニア州、経済活動を全面再開
(米国)
サンフランシスコ発
2021年06月18日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は6月15日、同州ロサンゼルス郡のユニバーサル・スタジオ・ハリウッドで、4月に発表したとおり同日からの全面的な経済再開を宣言した(関連ブラック ジャック ゲーム)。ただし、経済を再開しても新型コロナウイルスにかかわる規制が全て解除されたわけではない。
各企業には、州労働安全衛生局(Cal/Osha)の新型コロナウイルス感染症予防緊急臨時基準の順守が引き続き求められる。この基準は2020年11月に発効し、職場でのフェースカバー着用などに関する要件を定めている。6月17日に改定された基準(注1)によると、雇用主は原則として、ワクチン接種を完了した従業員による屋内でのフェースカバー着用を不要とすることができるとしている。ただし、雇用主は、フェースカバーを着用しない従業員が決まった回数のワクチン接種の完了後、少なくとも2週間経過していることを確認し、当該従業員の接種状況を記録する必要がある(注2)。また、雇用主は、屋内または車両の中で他人と働くワクチン接種未完了の従業員が要求した場合などに、N-95などの保護マスクを配布しなければならない。
経済再開に伴い、フェースカバー着用に関する州公衆衛生局のガイダンスも変更した。ワクチン接種の状況にかかわらず、公共交通機関や病院、学校・児童施設の屋内などでは引き続き着用する必要があるが、ワクチン接種完了者はそれ以外の場所では着用は原則求められない。サンフランシスコ市内では16日、マスクを外している人も多く見られた一方、15日に同市内のスーパーマーケット店内では依然として多くの客がマスクを着用している光景が見られた。
人の移動をみると、北カリフォルニアのベイエリア5郡(注3)を結ぶ公共交通BARTの利用客は依然少ない状況だ。当局の発表によると、利用客数は6月15、16日と2日間続けて新型コロナウイルス感染拡大以来最多を更新したものの、感染拡大前の想定数の8割以上を下回っている。車の交通量は感染拡大以前の水準に近づいている。同州都市交通委員会(MTC)の15日の発表によると、6月初旬のベイエリアの7つの橋(有料)の交通量は、2019年6月中旬の平均85%まで回復している。
企業の勤務体制に関して、ジェトロが5月後半に在カリフォルニア州日系企業など(注4)を対象に実施したアンケート調査では、全面的なオフィス再開が可能となった場合、回答企業の約6割がオフィスとリモート(注5)を組み合わせた「ハイブリット勤務」を想定している()。また、新型コロナウイルス感染拡大終息後も、約半数の企業が同勤務体制を予定している。
(注1)労働安全衛生局の委員会は6月17日に基準の改定案を採択し、ニューサム知事が同日、州行政法局(OAL)による審査なしに改定の発効を可能にする知事令に署名し、有効となった。
(注2)労働安全衛生局のウェブページでは、接種状況の記録方法として、従業員のワクチン接種証明書のコピーを保管することや、従業員が接種状況を自己証明して雇用主がその記録を取ることなどを挙げている。同州サンタクララ郡は、郡所在の事業者などに従業員の接種状況の確認・記録の保持などを求める公衆衛生の命令を独自に出している(2021年5月31日記事参照)。
(注3)サンフランシスコ、アラメダ、コントラコスタ、サンマテオ、サンタクララの5郡。
(注4)回答企業には、現地在住の日本人が起業した会社など、日本に本社を構える企業の現地法人以外も含まれる。
(注5)自宅を含むオフィス外での勤務方法を想定。
(石橋裕貴)
(米国)
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