米カリフォルニア州、6月15日から全面的に経済再開へ

(米国)

サンフランシスコ発

2021年04月09日

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は4月6日、新型コロナウイルス感染拡大からの回復に向けた次のステップとして、6月15日に全面的に経済を再開する方針を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ワクチン供給量と入院者数の2つの基準を満たす前提で、2020年8月から実施してきた経済再開計画(Blueprint for a Safer Economy、注1)(米カリフォルニア州、新型コロナとの共存のためブラック)から全面再開へと移行する。同州では、新型コロナウイルスの感染者数、死者数、検査陽性率、入院者数の各指標が改善傾向にある。ワクチン接種も進んでおり、州政府の発表によると、6日までに累計2,100万回以上が投与された。

全面的な経済再開のための2つの基準は、(1)ワクチン接種を希望する16歳以上の州民に十分な量のワクチンが供給されていること、(2)入院者数が安定して低いこと。州政府は入院者数やワクチンへのアクセス、変異ウイルスに対するワクチンの有効性を引き続き注視し、必要があれば、6月15日の経済の全面再開予定日を再検討する可能性もある。また、全面的に再開された場合でも、マスク着用義務などは維持し、全ての住民にワクチン接種を促していくとしている。カリフォルニア州では、4月15日から16歳以上の全住民がワクチン接種対象となる(注2)。

州公衆衛生局の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、全面的に経済が再開された場合、学校などの教育機関はガイドラインなどを順守しながら全ての授業を対面で行うことが推奨されている。また、職場については、屋内換気の改善や、屋内・その他の感染リスクの高い環境下でのマスク着用、事業運営に影響がない範囲でのリモートワークなど感染リスクを減らす対策が求められる。住民や旅行者は、州公衆衛生局や米疾病予防管理センター(CDC)の最新のガイドラインに従う必要がある。

感染状況の改善を受け、サンフランシスコ、シリコンバレーの企業の間では、オフィス再開に向けた動きも徐々に出ている。複数の現地報道(注3)によると、ウーバーテクノロジーズやフェイスブック、グーグルは、まず人数制限を設けた上で、従業員の自主性に任せたオフィス再開を行う。その後、秋に本格的なオフィス再開を目指している。アマゾンは米国の拠点について、今夏を通じて従業員のオフィス勤務を増やし、秋までにほとんどの従業員をオフィスに戻す方針を発表している。

(注1)州内の58郡を1日の新規感染者数(10万人当たり)と検査陽性率などの指標に基づいて感染状況で色分けする。(1)広くまん延(Widespread)-紫色、(2)かなりまん延(Substantial)-赤色、(3)中程度のまん延(Moderate)-オレンジ、(4)低度のまん延(Minimal)-黄色の4段階に分類し、段階的に経済活動を再開している。各郡の状況はカリフォルニア州政府のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認可能。

(注2)4月6日時点で一部の郡では既に16歳以上の住民が接種対象となっている。

(注3)いずれも今回の全面的な経済再開方針発表以前の報道。

(石橋裕貴)

(米国)

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