メルケル首相主宰の自動車会議、充電インフラ拡充の必要性指摘

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年04月07日

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は3月23日、政府と経済界、自動車産業が集積する州の首相、労働組合の関係者らと「協同アクション・モビリティー」第5回会議(自動車会議)を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

連邦政府によると、今回の議論の中心は自動車産業の付加価値創出と雇用維持、欧州の温室効果ガス削減目標達成をいかに実現するかという点だった。2020年12月の欧州理事会(EU首脳会議)では、2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で少なくとも55%削減することを確認している()。

会議で出席者は、付加価値創造と雇用を維持した上の脱炭素化のため、低排出ガス車などの代替駆動技術に可能性があることや、電気自動車(EV)などの普及には、政策的枠組みの整備と購入刺激策に加え、欧州全体での充電インフラ整備の必要性を指摘した。また、欧州全体での充電インフラ拡充のためには、(1)野心的な目標設定、(2)支払い方法の統一化、(3)システムの相互運用性などが重要といった意見が出た。

充電インフラの拡充について、連邦政府は2024年までに最大55億ユーロを確保し、助成策や法整備を進めている。例えば、2020年11月には私用のEV充電設備設置に対する助成策を導入(2020年12月9日記事参照)、また2月には、当該助成への需要増を受け予算を拡充した()ほか、2023年までに1,000の急速充電施設を整備する法案を閣議決定した(2023年までに1,000のEV用急速無料)。

また会議では、自動車産業が既に約束している1万5,000の公共充電施設の整備について、2021年末までにその多くを整備することをあらためて確認した。フォルクスワーゲンは3月15日、2025年までに欧州全体で約1万8,000カ所の急速充電施設を英国石油大手BPなどと協力して整備していくことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、同30日にはBPがBMWとダイムラーのEV充電用ソフトウエア合弁会社に資本参加することが発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされるなど、民間企業による充電施設整備に向けた動きも進んでいる。

自動車会議の第3回会議(メルケル首相、ブラック ジャック)で議論されたモビリティーデータの共有については、データスペースを2021年10月にハンブルクで開催のITS世界会議までに準備することを今回あらためて確認。また、第4回会議(関連カード ゲーム ブラック ジャック)で実施が決まった10億ユーロ規模の「自動車産業未来ファンド」について、その具体策を専門委員会に諮問、今夏までに答申されることとなった。同ファンドの目的は、デジタル化支援に加えて、自動車産業の構造転換に直面する地方支援が中心となる見込みだ。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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