自動車会議で低排出ガス車・商用車の購入促進策などを決定
(ドイツ)
ミュンヘン発
2020年11月25日
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は11月17日、政府と経済界、労働組合の関係者らと「協同アクション・モビリティー」第4回会議(自動車会議)をオンライン方式で開催した。同会議の開催は2020年9月に開催された第3回(メルケル首相、ブラック ジャック)に続くもの。今回の会議では、特に、(1)充電インフラの拡大、(2)環境負荷の低い商用車の買い替え支援策、(3)低排出ガス車購入時の連邦政府負担分の助成金倍増措置の延長、(4)2020年6月に発表された経済対策における自動車産業向け投資額20億ユーロの使い道、などについて議論された。
まず、充電施設の拡充に関して、連邦政府は2021年末までに5万カ所の施設を新設し、全体で約7万2,000カ所とする目標を維持する。自動車産業が既に約束している1万5,000の公共充電施設の整備について、連邦政府は2021年末までにその多くを整備するよう求めた。また、連邦政府は、国内ガソリンスタンドにおける急速充電設備について、2022年末までに最低25%のガソリンスタンドに設置、2024年末に最低50%、2026年末に最低75%とすることを目標としており、この目標達成のため、近く石油会社と自主的な目標の設定について話し合う、とした。達成が困難とみられる場合、連邦政府は導入義務付けなどを法で定めるとした。
商用車の買い替え支援について、連邦政府はトラックの買い替え支援策の計画を明らかにした。本支援策は、電動、燃料電池トラックに加え、化石燃料エンジンのトラックも対象とする。ただし、支援の対象となるのは、排ガス規制ユーロVIを満たし、かつ、二酸化炭素(CO2)排出が少ないなど、環境にやさしい特徴を有するモデルに限る。また、買い替え支援対象になるためには、旧型トラック(ユーロIII~V)を廃車にすることが条件。電動、燃料電池トラックへの買い替えに対する助成額をより大きく設定するとし、タイヤ圧自動計測などのトレーラー向け新技術も対象に含む。連邦政府は買い替え支援策に5億ユーロ、消防車など公共部門での買い替えに5億ユーロを支出するとしている。
また、低排出ガス車購入時の補助金「環境ボーナス(Umweltbonus)」のうち、2021年12月末までの期間限定で2020年7月に導入した「イノベーション・プレミアム(Innovationsprämie)」(関連ブラック ジャック ディーラー)を2025年末まで延長する。「イノベーション・プレミアム」は、購入補助額のうち連邦政府負担分を倍増する措置。ただし、助成対象となっているプラグインハイブリッド車について、2022年以降は電気走行での航続距離が最低60キロ、2025年以降は最低80キロのモデルのみを対象とする。
2020年6月に発表された経済対策(2020年6月10日記事参照)の「未来パッケージ」に含まれた、総額20億ユーロの自動車産業向けの未来投資プログラムを遅滞なく具体化することも確認。生産プロセスの転換、将来技術への研究開発において、特に中小企業を支援するほか、地域の産業転換も支援する。また、10億ユーロ規模の「自動車産業未来ファンド」を追加で新たに用意し、国、地方それぞれのレベルで自動車産業が抱える中・長期的課題に対応していく。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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