ロックダウンの延長と厳格化、居住区から15キロ超の移動禁止も

(ドイツ)

ベルリン発

2021年01月12日

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は1月5日、各州首相と新型コロナウイルス感染拡大抑制策について協議し、1月10日までの行動制限措置を1月31日まで再延長することと、さらなる強化措置を取ることで合意した。医療体制を維持するため、感染経路の追跡が可能とされる直近7日間の人口10万人当たりの新規感染者数を50人未満に抑制すべく、11月2日から行動制限措置が導入されているが(関連ブラック ジャック web12月2日記事12月7日記事12月15日記事参照)、感染拡大が止まらない。合意前日の4日には、国内410の市と郡のうち約4分の3の市郡(292市郡)で、直近7日間の人口10万人当たりの新規感染者数が100人を超えており、さらにこのうち70以上の市郡では200人を超えていた。また、12月24日に国内でも確認された感染力の高い変異種の侵入と拡散を制御すべく、制限措置の延長と強化が決定された。

メルケル首相は「冬季(1~3月)は感染が拡大する時期」であり、対策は厳しいものだが、「絶対に必要」と強調した。

12月16日に導入された各種制限措置に加えて、1月11~31日の延長期間における強化および追加の措置は以下のとおり。

  • 接触制限:引き続き他者との接触は真に必要な最低限とし、可能な限り自宅で過ごすよう強く要請。
  • 私的な集まり:自らの世帯のほか、別世帯に属する人は最大1人までしか集まりに加われない。
  • 外出制限:各州は、過去7日間の人口10万人当たりの新規感染者数が200人を超えた市郡に対する地域的な制限措置を講ずる。特に、この新規感染者数の値になった市郡の居住者の移動は正当な理由がない限り、居住地(注)から半径15キロ以内とする措置が求められる。この場合、日帰りを含む観光旅行は正当な理由として認められない。
  • 雇用主:全土での在宅原則を実行するため、在宅勤務を強く要請。

検疫にも追加措置が講じられる。今回の合意文書によると、リスク地域外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからの入国に際して、これまでの10日間の自主隔離義務と入国前のデジタル登録、入国後10日間の隔離の義務に加えて、今後は到着前48時間以内または入国直後のPCR検査の受診も義務付けられる。連邦政府によるモデル条例を基に各連邦州で1月11日に施行された。

2月1日以降の措置については、1月25日に協議予定となっている。

(注)居住地とは、自宅ではなく居住する市郡のことであり、15キロの範囲は市郡の境界から測られる。

(中村容子)

(ドイツ)

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