欧州中銀、金融緩和政策を維持
(EU、ユーロ圏)
デュッセルドルフ発
2020年07月17日
欧州中央銀行(ECB)は7月16日、ドイツ・フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、金融緩和政策を維持する方針を示した。政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)を0.25%、預金ファシリティー金利をマイナス0.50%にそれぞれ据え置くほか()、「新型コロナウイルス禍」での緊急対策として打ち出した資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」の規模も1兆3,500億ユーロを維持する(2020年6月5日記事参照)。PEPPを通じて購入し保有する債券・国債の再投資については、少なくとも2022年末まで継続するとした。
ユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)についても月額200億ユーロ規模での債券・国債の購入を継続するほか、1,200億ユーロの一時的な追加資産購入を2020年12月末まで実施する。緩和政策の効果を高めるため、資産購入については、「必要な限り」金利の引き上げ開始前まで継続するとし、APPの下で購入し保有する債券・国債の再投資については、主要政策金利の引き上げ開始以降も必要な限り続ける従前の方針をあらためて示した。
不確実性の高い状況続く
クリスティーヌ・ラガルドECB総裁は記者会見の中で、「現在および今後予想される雇用や所得の喪失、新型コロナウイルスの感染拡大状況と景気見通しに関する非常に高い不確実性は、個人消費と企業投資の足かせとなっている」と指摘した。ユーロ圏の活動は第3四半期に回復が見込まれるとした一方、回復の全体的なスピードや規模については不確実性が高く、今後のウイルスの封じ込め策の期間や効果、経済刺激策が奏功するかが焦点となるとしている。また、ラガルド総裁はユーロ圏経済の迅速な立て直しの観点では野心的かつ調整された財政政策が引き続き重要との立場を示したうえで、今月17~18日にかけて開催される特別欧州理事会を念頭に、EUの首脳に対し経済支援パッケージの合意形成を迅速に進めることを強く求めた。
(ベアナデット・マイヤー、森悠介)
(EU、ユーロ圏)
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