政府、電気・ガス料金を年末まで凍結
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2020年06月29日
政府は6月19日、政令543/2020号を公布し、一般世帯および企業向けの電気およびガスの公共料金を、再び180日間凍結すると発表した。同公共料金は、2019年12月23日付で制定された、社会連帯・生産性回復法の法律第27541号第5条で、エネルギーシステムの緊急事態を理由に、今月20日まで凍結されていた(関連ブラック ジャック 勝率)。
政令によれば、公布の目的は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月20日に発令された外出禁止令が継続している中で、供給会社との料金の再交渉プロセスが実施できていないこと、また、収入が大幅に減少している一般世帯および企業の負担を軽減するためだ。料金の凍結は、2020年12月末まで延長する。
さらに、政令543/2020号では、電気、ガス、水道、電話、携帯電話、インターネット、ケーブル・衛星テレビなどのサービスを提供する会社は、料金の支払いが6カ月間滞納された場合でも、サービスを停止することはできない、と定めている。
このような状況を踏まえ、国内の主要ガス供給会社などは、ガスが供給されている全国の一般世帯に対し、毎月200ペソ(約306円、1ペソ=約1.53円)を加算して請求できるよう政府に求め、協議も開始している。料金の凍結が原因で、供給会社の収入が大幅に縮小し、国営石油会社YPFや石油ガス生産事業PAEなど、国内の主要天然ガス生産会社への支払いも困難になる可能性があるからだ。
6月19日付現地「インフォバエ」紙は、国内市場の原油価格が固定されたように(2020年5月26日記事参照)、天然ガス価格を百万BTU(英国熱量単位)あたり3.50ドルに固定する「プラン・ガス4」計画が、政府および天然ガス生産会社間で検討されていると報じた。目的は、同産業における生産の落ち込みを食い止め、諸外国からの投資を誘致し、輸入に頼らないための取り組みだとしている。ただし、原油価格の固定と同じように、天然ガス価格が固定される場合、政府側は、天然ガス生産会社に対し、雇用、投資、生産水準を維持するといった条件を課すのではないかと考えられている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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