英国政府、移行期間後はEUからの輸入にも税関申告と貨物検査を適用と明言
(英国、EU)
ロンドン発
2020年02月12日
英国政府は2月10日、EU離脱(ブレグジット)に基づく移行期間終了後の2021年1月1日以降は、EUから物品を輸入する際にも、輸入申告と貨物検査が必要になることを明らかにし、企業に対策を呼び掛けた。双方で自由貿易協定(FTA)が締結・発効できるかどうかにかかわらず、新たに通関手続きなどが発生することは明らかだったが(関連オンライン カジノ ブラック)、政府が公式に言及したのは今回が初めて。
EU離脱まで、政府の合意なき離脱(ノー・ディール)対策を指揮してきたマイケル・ゴーブ・ランカスター公領相が、国境管理実務に関する省庁横断組織の関係者向け会合で明らかにした。同相は、移行期間終了後は英国がEUを含む全世界との輸出入を同一条件で取り扱うことになると明言。加えて、EUからの物品輸入を対象とした「移行簡易手続き(TSP)」(関連ブラック ジャック やり方)など、ノー・ディールとなった場合の激変緩和措置として打ち出してきた施策を、移行期間終了後に導入することはないとの考えも示した。その理由として、企業が移行期間終了まで準備時間を確保できることを挙げている。
ゴーブ公領相はこうした方針を踏まえ、「英国が(EUの)単一市場と関税同盟から離脱する以上、(EUとの貿易に関して)その後に必ず発生する通関手続きや規制に基づく検査に備えなければならない」とコメントし、企業に対策を促した。政府側ではこれまでノー・ディール対策の一環として、EORI(Economic Operators Registration and Identification)番号未登録かつEUと取引のある英国企業に歳入関税庁(HMRC)が同番号を付与するなど()、企業が通関手続きに対応できるよう、準備を進めてきた。
またHMRCは同じ2月10日、2019年から実施している企業向け助成金()の受付期限を2020年1月31日から2021年1月末まで1年間延長することを発表した。助成金は、自社で輸出入申告実務を行っている事業者向けに従業員教育、申告代行業者向けに採用やシステム構築支援を行うもので、HMRCによると、これまでに予算総額2,600万ポンド(約36億9,200万円、1ポンド=約142円)のうち、1,850万ポンド分が申請されている。
しかし、これまでEU加盟国としか取引がなく、移行期間終了後に初めて輸出入申告を行うことになる事業者は、英国とEUを合わせて数十万社に上ると推計されており()、当局、企業ともに1年足らずで準備が間に合うのか、懸念も強い。政府は、貨物検査の具体的な内容や物理的検査の頻度、EUに限らず輸入申告手続きそのものを簡素化する可能性などについては明らかにしなかったが、HMRCによる申告処理の遅延や港湾での混雑を抑えるため、手続きや検査の効率化に向けた新たな措置が導入される可能性もあるだろう。
(宮崎拓)
(英国、EU)
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