11月の米失業率は3.5%と引き続き低水準、製造業の雇用者数が回復
(米国)
ニューヨーク発
2019年12月13日
米国労働省が12月6日に発表した2019年11月の失業率は3.5%(表1参照)と、市場予想(3.6%)を下回った。就業者数が前月から8万3,000人増加し、失業者数が4万4,000人減少した結果、失業率は前月(3.6%)より0.1ポイント低下し、2019年9月(3.5%)以来、2カ月ぶりに3.5%を記録した。
適当な仕事がみつからずに職探しを断念した者や、不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)をみると、前月から0.1ポイント低下して6.9%となった。
一方で、労働参加率(注)は63.2%で、前月(63.3%)から0.1ポイント低下した。
11月の非農業部門の雇用者数の前月差は26万6,000人増となり、市場予想(18万5,000人増)を上回るとともに、前月(15万6,000人増)と比べて増加幅が拡大した。10月から11月にかけての雇用増加の内訳をみると、製造業は5万4,000人増、サービス部門が20万6,000人増となった(表2参照)。製造業は自動車・同部品が4万1,300人増と、前月の減少幅(4万2,800人減)(2019年11月6日記事参照)をほぼ回復し、増加に転じた。米国労働省によると、9月半ばから40日間続いた全米自動車労働組合(UAW)によるゼネラルモーターズ(GM)へのストライキには4万6,000人が参加したとされており、ストライキ終結(関連ブラック ジャック ストラテジー)に伴い、労働者が仕事に戻ったことなどが影響したされる。サービス部門については、教育・医療サービスや娯楽・接客業などを中心に増加した。
こうした中、平均時給は28.29ドル(10月:28.22ドル)と、前月比0.2%増(0.4%増)、前年同月比3.1%増(3.2%増)となった。
米証券会社FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロウ氏は「雇用者数の堅調な増加、(9月以来となる)再度の失業率の低下、そこそこの賃金上昇がみられるといった力強い結果」だったと述べた(ロイター12月6日)。また、大手格付け会社フィッチ・レーティングスのチーフエコノミスト、ブライアン・コールトン氏は「個人消費やサービス部門が、(世界経済の鈍化など)米国経済の外生的なリスクとそれに関連した製造業の弱さを和らげるといった状況は、しっかりと残っている」とした。
(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。
(権田直)
(米国)
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