10月の米失業率は引き続き低水準、雇用者数増加幅は市場予想を上回るも2カ月連続で縮小

(米国)

ニューヨーク発

2019年11月06日

米国労働省が11月1日に発表した10月の失業率は3.6%(表1参照)と、市場予想(3.6%)と変わらなかった。就業者数が前月から24万1,000人増加し、失業者数も8万6,000人増加した結果、失業率は前月(3.5%)より0.1ポイント上昇した。

適当な仕事が見つからずに職探しを断念した者や、不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)をみると、前月から0.1ポイント上昇して7.0%だった。

一方で、労働参加率(注1)は63.3%と、前月(63.2%)から0.1ポイント上昇し、2013年8月(63.3%)以来6年2カ月ぶりの水準となった。

表1 米国の雇用統計(10月速報)

10月の非農業部門の雇用者数の前月差は12万8,000人増と、市場予想(8万5,000人増)を上回ったもの、前月(18万人増)と比べて増加幅は縮小した。9月から10月への雇用増加の内訳を主要業種別にみると、娯楽・接客業や教育・医療サービス業などを中心に増加した(表2参照)。

表2 主要業種別雇用増加数(前月差)の内訳(10月速報)

一方で、製造業(3万6,000人減)のうち、自動車・同部品は4万1,600人減となり、2009年1月(9万1,400人減)以来10年9カ月ぶりの減少幅を記録した。米国労働省によると、全米自動車労働組合(UAW)によるゼネラルモーターズ(GM)のストライキ(関連ブラック ジャック ディーラー10月31日記事参照)などが影響したとされる。同省によると、9月半ばから40日間続いたストライキには4万6,000人が参加したとされる(注2)。また、2020年国勢調査の集計作業のために臨時雇用されていた者の職務が終了したことなどを受けて、政府部門は3,000人減となり、5月以来5カ月ぶりの減少となった。

こうした中、平均時給は28.18ドル(9月:28.12ドル)と、前月比0.2%増(9月:0.04%増)、前年同月比3.0%増(同:3.0%増)となった。

大手格付け会社フィッチ・レーティングスの米国共同代表のチャールズ・セビル氏は「GMのストライキと国勢調査による雇用減の影響を除けば、雇用増(のペース)は底堅い」と述べた(「マーケットウオッチ」11月1日)。一方で、米金融機関バンク・オブ・ザ・ウエストのチーフ・エコノミストのスコット・アンダーソン氏は「製造業の不振が長引けば、サービス業の業況や労働市場全体の健全性にも(その負担が)重くのしかかってくるだろう」と述べた(ロイター11月1日)。

(注1)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(注2)雇用統計における雇用者数は、対象となる事業所から毎月12日を含む週に、当該期間が含まれる給与支払期間(週次、月次など)分の給与が支払われた労働者の数を聴取して集計される外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(権田直)

(米国)

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