UAW、米GMとの労働協約を批准、40日間のストライキは終結
(米国)
ニューヨーク発
2019年10月31日
全米自動車労働組合(UAW)は10月25日、全組合員による投票の結果、過半数を超す57.2%が暫定合意内容(2019年10月21日記事参照)を承認したことで、今後4年間にわたるゼネラルモーターズ(GM)との労働協約を批准したと発表した。批准に先立ち、10月17日にはUAWとGM間で暫定合意が結ばれていたが、ストライキは継続されていた(2019年10月23日記事参照)。今回の批准により、自動車メーカーとしては過去50年間で最長となる40日間のストライキが終結した。
今回の労使交渉に関し、UAWのテリー・ディッツ副委員長は声明で「従業員を二分する給与体系の改善に立ち上がった組合員の努力を誇りに思う」と述べ、焦点となった非正規従業員に対する待遇の是正や、雇用の確保、給与やヘルスケアを含む福利厚生の正当な支給などに関する交渉結果をおおむね歓迎した。主要争点に関する批准内容は表のとおり。なお、今回批准された協約は暫定合意内容からの変更はない。
批准に向けてGMは、国内の生産拠点への77億ドルの新規投資と、約9,000人の新規雇用を行う計画を提示した。その中には、2020年1月に予定されていたミシガン州ハムトラマック工場の閉鎖を撤回し、電動ピックアップトラックの生産拠点とすることや、オハイオ州マホニングバレーで新たに、電気自動車(EV)用バッテリーを生産する工場を設立する計画も含まれている。オハイオ州の合弁会社では1,000人の新規雇用が見込まれている。
一方で、2018年11月に閉鎖を発表していたオハイオ州ローズタウンとメリーランド州ボルティモアの組立工場およびミシガン州ウォーレンの変圧器工場に加え、カリフォルニア州フォンタナの部品配送センターの閉鎖は計画どおり実行する。GMは、車両の電気化や自動化など需要の変化に伴い、稼働率の低い工場の閉鎖による生産体制の見直しを順次行っており、今回の交渉でも重要な争点になっていた。
協約の批准を受け、GMのメリー・バーラ会長兼CEO(最高経営責任者)は「GMは国内の数万人の従業員に高賃金の仕事を提供し、多額の投資を拡大できることを誇りに思っている。1つのチームとして前進し、安全で質の高い乗用車、トラック、クロスオーバーSUV(スポーツ用多目的車)の生産に注力できる」との声明を発表している。
UAWは、GMの交渉内容を基準に、次にフォードまたはフィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)と交渉を行うとしている。
(大原典子)
(米国)
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