SLSFTAの積送基準、条文案が公開
(スリランカ、シンガポール)
コロンボ発
2018年04月18日
1月23日に署名調印されたスリランカ・シンガポール自由貿易協定(以下、SLSFTA)について、条文案が公開された(注1)。同協定における積送基準(直送規定)について、今回公開された条文案を基に以下のとおり紹介する(注2)。
第三国経由のトランジットについても規定
同条文案のChapter02“Trade in Goods”「Protocol1:Rules of Origin, Article18」によれば、積送基準(直送規定)は文字どおり直送を原則とするが、第三国経由のトランジットについて、当該第三国の公的機関によるトランジットの際の証明〔例:未加工証明(Non-Manipulation Certificate)など〕がある場合には、輸出国の原産地証明書の有効性が最終仕向地の税関にて適用される。スリランカにとっては初めての試みとなる規定だ。なお第三国でのトランジットを経た上で原産地証明が有効となるための積送基準(consignment criteria)を満たす条件は以下のとおり。
「積み替えまたは一時蔵置のために第三国を経由する場合、また、この際に産品が売買取引されたり消費されたりしない場合。ただし、(1)積卸しおよび産品を良好な状態に保存するために必要な行為以外の作業が行われていないこと、(2)通過輸入が地理上の理由もしくは輸送の必要条件に関する理由のみによって行われることが前提」
現時点ではあくまでも協定案段階で、今後の批准手続きプロセスにおいて変更の可能性もある。しかし開発戦略・国際貿易省の関係者によると、同協定が発効されれば、いわゆる「ASEAN型」のFTAとしてスリランカが初めて締結するものとなり、同国にとって重要な意味を持つ協定となる。他方、日系企業の関心が高いASEAN全体を含めた地域累積規定の適用はされず〔SLSFTAではあくまでも累積(Cumulation of Origin)は2国間のみ〕、また、3国間貿易(The Third Party Invoiceの受領の有無)については規定されない点などは、今後の課題ともいえるだろう。
(注1)開発戦略・国際貿易省のウェブサイトでFTA条文案の全文を確認することが可能。
(注2)特に注目度の高い物品貿易について、一般的にFTAを活用するに際には、「関税撤廃スケジュールの確認」「原産性判定基準の特定(品目別ルールおよび一般ルールの確認)」および「積送基準(直送規定)の確認」が必要。関税撤廃スケジュールについては関連ハイパーブラックジャック、原産地規則については4月17日記事参照。
(山本春奈)
(スリランカ、シンガポール)
ビジネス短信 f429544e8f7b48a5