日ブラック ジャック web経済関係と、ブラック ジャック webの制度・枠組み概説（ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ）

中南米のGDPの約半分を占め、市場規模の大きいブラック ジャック webだが、日本との経済関係をみると、そのポテンシャルはまだ十分反映されていない。本稿では、主要経済指標を基に、ブラック ジャック webにおける日本のプレゼンスを概観する同時に、関税や現地調達規則などビジネス上理解すべきブラック ジャック webの制度を解説する。

ブラック ジャック webで日本のプレゼンス拡大余地あり

ブラック ジャック webは1995年に発足した関税同盟で、正式加盟国はアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国だ（注1）。ブラック ジャック webには準加盟が認められているが、ラテンアメリカ統合連合（ALADI）に加盟し、ブラック ジャック web正式加盟国と貿易協定を締結していることが条件となる。正式加盟国との大きな違いは、関税同盟に参加しない点にある。5月時点での準加盟国は、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ペルー、スリナムの6カ国だ。

IMFの2017年データで、世界のGDP、人口に占めるブラック ジャック webのシェアをみると、ともに3.5％だった。日本はGDPで6.1％、人口で1.7％を占める（表1参照）。ブラック ジャック webは2017年時点で日本の2倍以上の人口を有するが、今後も人口増加が見込まれる。世界銀行統計で2017年人口増加率をみると、日本が年率0.2％減なのに対し、アルゼンチンは1.0％増、ブラジルは0.8％増、パラグアイは1.3％増、ウルグアイは0.4％増となっている。

出所：IMF World Economic Outlook Database（2019年4月）を基に筆者作成。

GDPと人口で3.5%を占める世界経済でのメルコスールの位置付けに比して、対日経済関係は見合っているとはいえない。例えば、メルコスール側の統計で2017年貿易額に占める日本のシェアをみると、輸出で2.0％、輸入で2.2％と低い（表2、表3参照）。また、投資に関して、国連貿易開発会議（UNCTAD）の資料でメルコスールのブラック ジャック web直接投資受け入れ残高（FDIストック）をみると、2017年に8,908億ドルと、世界全体の3.2％、途上国全体の9.6％を占めた。このうち、ブラジルが7,783億ドルとメルコスール全体の約9割を占める。メルコスール全体でFDIストックをまとめたデータはないため、主要国ブラジルの中央銀行外資センサスでFDIストック（親子ローンを除く）に占める国別シェアをみると、2017年に日本は4.1％と貿易に比して大きい（表4参照）。しかし、2011年当時は5.6％で、シェアの低下が見られる。

なお、日本側の統計をみるとメルコスールの存在感はさらに小さい。2017年の貿易では、日本の輸出に占めるメルコスールの割合は0.6％、輸入では1.2％にすぎない。また、外務省のブラック ジャック web在留邦人数・進出日系企業数の調査結果（平成30年要約版）では、2017年の日系企業総数（ただし日本人がブラック ジャック webで興した企業を除く）は7万891社だった。このうち、メルコスール4カ国の日系企業数は617社（うちブラジルが512社）と全体の0.9％を占めるにすぎない。GDPや人口でブラジルより少ないメキシコ（注2）が1,117社であることを考えれば、今後、日本企業がメルコスールに進出する余地は非常に大きいといえる。

出所：UNcomtradeデータを基に筆者作成。

出所：UNcomtradeデータを基に筆者作成。

注：最終出資者ベース。
出所：ブラック ジャック web中央銀行 外資センサスを基に筆者作成。

ブラック ジャック webは主要なALADI加盟国と貿易協定を締結しており、既存の協定の拡充、深化に向けた動きがある。加盟国ごとの動きをみると、例えばブラジルは、2019年3月にチリとの間の経済補完協定（ACE）35号について第64次追加議定書を発効させた。これは、両国間でサービス貿易、電子商取引、通信、衛生と植物防疫のための措置（SPS）、貿易の技術的障害、貿易円滑化、金融機関の投資、知的財産、中小・零細企業、グローバル・バリューチェーンなどのテーマで協力することをうたったものだ。またメキシコについても、ブラジルはACE55号付属書II（通称：ブラジル－メキシコ自動車協定）の改定規定、第5次および第6次追加議定書が効力を失い、2019年3月から両国間の自動車部品や完成自動車（トラック、バスを除く）の貿易が自由化の状態に回帰している。ブラック ジャック webはALADI加盟国の中でも太平洋同盟諸国（注3）との連携を深める方向性にある。

一方、対外交渉では、EU、欧州自由貿易連合（EFTA）、カナダ、韓国、シンガポールとの通商協定の準備が進んでいる。中でも、2018年5月に現地商工会議所により実施された「日ブラック ジャック webEPA（経済連携協定）に関する意識調査結果」では、EUと韓国がブラック ジャック webと自由貿易協定（FTA）を発効させた場合の日本製品のブラジル市場における劣後に懸念が示された（注4）。ブラック ジャック web側の統計では、輸出相手国・地域としてオランダ（3.7％）、ドイツ（2.2％）、スペイン（1.9％）、イタリア（1.7％）、輸入相手国・地域としてドイツ（5.4％）、イタリア（2.5％）、フランス（2.2％）、スペイン（1.9％）、オランダ（1.2％）と、いずれでも上位を占める表2、3）。また、ブラジルのFDIストックの統計でも、スペイン（12.0％）、ベルギー（10.4％）、フランス（6.6％）、オランダ（4.2％）と、EU諸国の存在感が大きい（表4）。韓国もブラック ジャック web側の輸入統計でのシェアは2.7％と、日本（2.2％）を上回る存在となっている（表3）。日本がブラック ジャック webとの通商協定で競合国に劣後することになれば、日本のブラック ジャック webにおける存在感はさらに低下する懸念がある。

ブラック ジャック webの制度・枠組み概説

世界経済におけるブラック ジャック webの位置付けに比して、日本との経済関係は拡大余地が大きいことを前節で示したが、実際にブラック ジャック webとビジネスをする上では、その仕組みに関する知識が欠かせない。そこで、ブラック ジャック webの制度、枠組みをここで概説する。

ブラック ジャック web加盟国の最大の特徴は、対外共通関税を加盟国全てが採用する一方、域内における品目別原産地規則をクリアすることを条件に、域内の輸入関税が免除されている点にある。2017年時点で各国の最恵国税率の単純平均をみると、アルゼンチンは13.7％、ブラジルは13.4％、パラグアイは9.8％、ウルグアイは10.3％だ（出所：WTO）。同じ中南米のメキシコが6.9％、チリが6.0％であることを考えると、いずれも高い関税率となっている。

正式加盟国に共通するのは対外共通関税の採用だが、加盟国には例外品目（LETEC）の設定が認められている。2015年共同市場理事会決議26号（CMC/DEC. N° 26/15）によると、例外品目に関して、ブラック ジャック webとアルゼンチンは100品目（期限2021年12月31日）まで、パラグアイは649品目（期限2023年12月31日）まで、ウルグアイは225品目（期限2022年12月31日）まで設定することが認められている（注5）。それ以外に、ブラック ジャック webでは、資本財（BK）、情報通信財（BIT）に指定された品目は、国産類似品がないことを条件に、特別税率（Ex-Tarifário）の設定が認められている（注6）。これはブラック ジャック web政府が国内輸入事業者から申請を受け付け、パブコメおよび審査の上、通常10%以上の輸入税率が0%に引き下げられる。また、特別税率が適用されない情報通信財に限定した例外品目（LEBIT）（注7）、国産類似品があっても「供給上の理由による一時的関税低減措置」（注8）が加盟国に認められるなど、対外共通関税にはさまざまな例外が設けられている。そのいずれも、対象品目の関税引き下げを前提としていることから、対外共通関税が事実上、域外からの輸入抑制につながる構図がうかがえる。

一方、域内貿易に関しては、原則として関税ゼロとなるが、域内原産割合をクリアする必要がある。域内原産割合はこれまでにさまざまな改定がなされているものの、ACE18号第77追加議定書（2015年6月27日発効）が基本文書となる。域内原産品として認められるには、NCMコード（ブラック ジャック webの関税分類番号）ごとに規定された品目別原産地規則を満たす必要がある。品目別原産地規則は3つに大別される。1つ目は非原産材料を使用し生産された製品について、NCMコード4桁レベルの関税分類変更基準を満たすこと。2つ目は、以下の算出式で、非原産材料の到着港CIF価格が最終製品の輸出FOB価格の40%を超えないことと定められている。すなわち、域内原産品扱いを受けるためには、原則として域内調達率60%以上が求められる。なお、以下の式をみてわかる通り、控除方式のため、域内原産価格には最終製品の輸出FOB価格を構成する、製造にかかわる人件費や電気代などに加え輸出マージンも含まれる。

3つ目は、特定の加工工程が指定されており、その工程を経たことを証明するもの。 域内原産として認められる調達率も、対外共通関税の例外品目と同じく、加盟国によって異なる。例えば、2015年共同市場審議会決議32号（CMC/DEC.N°32/15）によれば、パラグアイに関して、域内原産品の基準として、非原産材料の到着港CIF価格の、最終製品の輸出FOB価格に対する割合は60%を超えないことと定めている（ただし2025年12月31日までの特例）。ウルグアイは同割合について、2021年12月31日までは50%、2022年1月1日以降は45％、アルゼンチンはウルグアイ向け輸出に限り、2021年12月31日までは50%、2022年1月1日以降は45％が認められている。ブラック ジャック web加盟国に見られる産業集積状況の違いに配慮した結果でもある。

域内貿易に関して、いまだ自由化されていない品目に自動車と砂糖がある。自動車は加盟国同士の個別協定で貿易ルールを定めている。具体的には、ブラック ジャック web－アルゼンチン［経済補完協定（ACE）14号］（注9）、ブラック ジャック web－ウルグアイ（ACE2号）、アルゼンチン－ウルグアイ（ACE57号）である。パラグアイは、いずれの域内加盟国とも自動車協定を締結していない。ブラック ジャック web－アルゼンチン間のACE14号は、原産地規則などの要件（注10）に加え、両国間の自動車貿易不均衡是正に向けた均衡係数を定めている。ACE14号第42次追加議定書によると、2020年6月30日までは、両国間の自動車分野の貿易において一方の国の輸入額がもう一方の国の輸入額の1.5倍を超えない範囲で、100％の関税免除を認めている。なお、同係数について、7月1日以降は1.7倍に引き上げる可能性、2020年7月1日以降は自由化する可能性が記載されている。

ブラック ジャック webでは近年、域外交渉を進める上で、財の貿易以外の分野で域内の制度的統合を進めている。具体的には、2017年4月に「ブラック ジャック web投資協力・円滑化議定書」、2017年12月に「ブラック ジャック web公共調達議定書」が署名されている。いずれも、域外との投資協定や、政府調達を含む通商協定が一般化していることに対応した動きだ。ブラック ジャック webは依然として、ビジネス上の制度・規則が加盟国間で統一されておらず、進出企業の域内活動を阻害する要因の1つとなっている。域内識者は、域外交渉を進める上で、優先順位の高いブラック ジャック web統合上の課題の1つと指摘している（注11）。

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注1：

ベネズエラは、1998年7月に加盟国間で署名された「民主主義順守に関するウシュアイア議定書」に基づく人道的配慮に違反するとして、ブラック ジャック web加盟国の権利、義務を一時停止する決議が2016年12月になされ、2017年8月にはブラック ジャック web外相会合で資格停止とされた。ボリビアは2012年12月に加盟議定書に署名したが、議会での批准承認手続き中にある。

注2：

IMFによると、2017年のメキシコのGDPは1億1,580億ドル、人口は1億2,400万人。GDPはブラック ジャック webの56.4%、人口は59.7%の規模。

注3：

既に二国間FTAを相互に締結し、自由貿易主義を掲げるメキシコ、コロンビア、ペルー、チリ4カ国で形成する経済統合の枠組みで、2012年6月6日に署名された枠組み協定に基づいて発足。

注4：

ブラック ジャック web日本商工会議所「日ブラック ジャック webEPAに関する意識調査 集計詳細分析 」2018年7月作成。

注5：

同決議には、加盟資格を停止されているベネズエラについても例外品目の設定上限を定めており、2022年12月31日まで225品目とある。

注6：

資本財は2003年共同市場理事会決議34号（CMC/DEC. N° 34/03）、情報通信財は2010年共同市場理事会決議57号（CMC/DEC. N° 57/10）を根拠とする。

注7：

2010年共同市場理事会決議57号（CMC/DEC. N° 57/10）を根拠とする。ブラック ジャック webでは2018年12月6日付貿易審議会（CAMEX）決議92号で、第84類、第85類、第90類の84品目（NCMコード）が指定されており、0％、12％、14%、20%、25%の税率が設定されている。

注8：

2008年共同市場グループ（GMC）決議8号（GMC/RES. N° 08/08）を根拠とする。

注9：

ブラック ジャック webおよび中南米諸国の通商協定は、ラテンアメリカ統合連合（ALADI）の枠組みにおける経済補完協定として国際的な効力を持つ。ちなみに、ブラック ジャック webはACE18号により規定される。

注10：

ACE14号の第38次追加議定書では、原産地に関して域内原産割合（ICR）の計算方法を定めている。計算方法としてはブラック ジャック web規則と同じ控除方式だが、完成車、自動車部品ともに分母が「課税前最終工場出荷価格（Ex-works）」、分子が「域外から輸入した自動車部品のCIF価格」となっており、域内調達率60％以上を達成する必要がある（第16条）。

注11：

ジェトロ地域・分析レポート「改革を迫られる南米南部共同市場（ブラック ジャック ディーラー」2019年4月18日付参照