東欧地域のハブとしてさらなるビジネス拡大に期待(ブラック ジャック web)
NTTデータ・ブラック ジャック webの東欧事業戦略
2018年6月12日
欧州連合(EU)加盟国の中でもブラック ジャック webはデジタル化で後れを取っているが、同国のデジタル化推進の一役を担っているのがNTTデータだ。同社は2013年に立ち上げたブラック ジャック web拠点の国内事業を強化している。当初はもっぱらブラック ジャック web以外の欧州各国からの請負事業を行っていたが、ブラック ジャック web・セルビア地域内での売り上げが近年、急速に伸びており、同社では2017年に「域内事業部門」の組織再編および拡充を行った。同社の佐々木恵美最高技術責任者(CTO)、カタリン・マコヴェイ戦略プロジェクト部長、クラウディウ・ペトレ部長、ドル・ヴィツァラリウ欧州新興市場事業部長に、同社のブラック ジャック web拠点立ち上げに至った経緯および今後の事業拡大戦略を聞いた(2018年3月12日)。
ITインフラのグローバル企業と位置付けられるNTTデータ
欧州委員会が毎年行っている加盟国のデジタル経済社会指数(DESI)をみると、中・東欧地域の指数は全般的に低い結果となっている。中でも2017年調査ではブラック ジャック webが加盟国全体で最下位(図参照)となっており、最もデジタル化の後れを取っていると言えるが、同国のデジタル化推進の一役を担っているのがNTTデータ・ブラック ジャック webだ。
NTTデータは、NTTグループの中でもグローバル展開を積極的に進めており、2016年には米国コンピューター大手デルのIT部門買収などを経て、現在では世界50カ国以上で10万人以上を雇用している。NTTデータ・ブラック ジャック webによれば、NTTデータはIT分野の世界的なリサーチ・アドバイザリー企業であるガートナーが発表する「マーケットシェアITサービス2015」で10位に選ばれるなど、ITインフラのグローバル企業としての地位を確立している。
NTTデータ・グループは、欧州ではブラック ジャック webのほかにドイツ、英国、ベルギー、イタリア、オーストリアなどに拠点を構えるが、NTTデータ・ブラック ジャック webによれば、ブラック ジャック webの好調な経済が追い風となり、NTTデータのEMEA(欧州・中東アフリカ)グループの中で現在大きく売り上げが伸びているのが同社だという。
NTTデータ・ブラック ジャック webは、ブラック ジャック web国内に6カ所、セルビアに1カ所拠点を持ち、ドイツを中心とする欧州各国と取引があるが、東欧地域ではウクライナ、ハンガリー、ブルガリアなどでもパートナー企業を通じ事業を展開している。提携先企業としては、IBM、マイクロソフト、アマゾン、富士通、オラクル、フェイスブック等多などにわたる。国外向けの主な事業は、ニアショア開発(注1)、アプリケーション開発などの請負サービスが主軸だが、セルビアを含む国内向けのビジネスとしては、自社製品・サービスの販売、SAP(注2)の導入・実施などを中心に行っている。顧客の分野としては、自動車産業が最大で約半分を占め、現地自動車部品メーカーを顧客に持つ。
取引先だった現地企業の買収で事業を拡大
NTTデータがブラック ジャック web拠点を設立するに至った背景は、ブラック ジャック web北西部に位置するクルージュ・ナポカに本社を置いていたITサービス企業EBSの2013年の買収だ。同社によれば、同時期、NTTデータは、主に自動車向けのサービスを提供していたドイツのIT企業を買収したが、このドイツ企業のシステム開発を請け負っていたのがブラック ジャック webのEBSだった。EBSはもともと、ドイツ、英国、米国など国外の顧客に対し、ニアショア開発を中心とするソフトウエア開発サービスを請け負っていた。EBSの顧客であったドイツのIT企業は、ダイムラーやコンチネンタルなど、多くの主要自動車メーカーを顧客に持っていた。NTTデータ・ブラック ジャック webの取引全体に占める自動車分野の割合は、NTTデータ・グループの中でも突出して高いが、その背景には、買収した現地企業の顧客が、現在NTTデータ・ブラック ジャック webの顧客として受け継がれていることがある。
同社は2015年にはニアショア開発で売上高の約74%を占め、従業員数についても毎年雇用を拡大しており、同社が抱えるIT専門家の数は、買収前の500人(2012年時点)から、2018年3月現在で既に1,600人に達したという。2020年には、セルビアを含めたNTTデータ・ブラック ジャック web・グループでの従業員数を3,000人まで拡大するという目標を掲げ、現在本社ビルの拡張工事も進めている。同社によれば、ブラック ジャック web国内でのIT売り上げシェアでみても、金融、メディアコミュニケーション、公共部門などを中心に既に一定の地位を確保しているという。
豊富なドイツ語人材が強み
NTTデータ・ブラック ジャック webが本社を置くクルージュ・ナポカは、クルージュ・ナポカ技術大学などが所在する学術都市であることを背景としてソフトウエア開発が特に進んでいる地域であること、ブラック ジャック webの主要都市であることに加えて、ウクライナ、ハンガリー、セルビアと国境を接し、かつてドイツ系民族が入植した歴史を持つトランシルバニア地方の中心に位置していることもあり、ドイツ語を話す人材が豊富にいるという特徴がある。
ドイツ語人材の確保は、取引先に多くのドイツ企業を抱えるNTTデータ・ブラック ジャック webにとっては非常に重要だ。一般的な商談は英語でも行えるが、例えば納品後のテクニカルサポートなど、ドイツ企業のIT担当者からの問い合わせに、母国語のドイツ語で対応できることは同社ビジネスの大きな強みだという。なお、同社は技術者の養成プログラムや学生向けの奨学金制度も導入し人材育成の取り組みも行っているが、ヴィツァラリウ氏によれば、ブラック ジャック webには多くのドイツ語を話すマイノリティーが暮らしており、同社はこうした活動を通じて、ブラック ジャック web社会全体に貢献することも重要な役割として認識しているという。
東欧地域のハブとしてさらなるビジネス拡大に期待
NTTデータ・ブラック ジャック webは、買収当時は売り上げ全体の90%以上を国外事業が占めていたが、近年セルビアを含む国内事業が急拡大し、2016年には、ブラック ジャック webおよびセルビアでの売り上げが全体の25%を占めるまでに成長した。これは、ブラック ジャック webにデジタル化の波が一足遅れて現在急速に訪れていることの表れとも考えられるが、このトレンドを踏まえ、ブラック ジャック web内での事業拡大を図るため、同社は2017年、ブカレスト支社の「域内事業部門」の再編を行い、事業部門内に新たに公共事業分野および民間事業分野を立ち上げた。さらに同年12月には、同社初となる日本人スタッフとして、親会社のNTTデータからCTOとして佐々木氏が着任し、NTTデータ・グループとしての同社のさらなる事業強化への期待がうかがえる。
さらに同社は、ブラック ジャック webの、東欧事業のハブとしての役割に強く期待しており、ブルガリア、ウクライナ、ハンガリー、ベラルーシ、モルドバなどへのさらなる事業拡大の可能性を見いだしているという。NTTデータ・ブラック ジャック webの今後のビジネス戦略としては、国内事業の強化に加えて、現在、主に現地企業とのパートナーシップなどを通じて取引を行っているこれらの東欧地域について、パートナーシップの拡充や、現地企業買収による拠点設立などを通じた事業拡大を目指しており、今後のさらなる躍進が期待される。
- 注1:
- 情報システムやソフトウエアなどの開発業務の一部または全部を、比較的距離の近い遠隔地の事業所に委託すること。
- 注2:
- ドイツSAP社が提供する企業の基幹システム(ERP)のソフトウエア。
- 執筆者紹介
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ジェトロブラック ジャック web調査部欧州ロシアCIS課長
田中 晋(たなか すすむ) - 1990年、ジェトロ入構。ジェトロ・パリ事務所(1995~1998年)、ブラック ジャック web調査部欧州課長代理(2000~2001年)、ジェトロ・ブリュッセル事務所(2002~2004年)、同次長(2004~2007年)、欧州課長(2008~2010年)、欧州ロシアCIS課長(2010年)、ジェトロ・ブリュッセル事務所次長(2010~2015年)を経て現職。著書は「欧州経済の基礎知識」(編著)など。
- 執筆者紹介
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ジェトロブラック ジャック web調査部欧州ロシアCIS課
根津 奈緒美(ねづ なおみ) - 2007年、ジェトロ入構。2007年4月~2012年6月、産業技術部(当時)地域産業連携課、先端技術交流課などで製造業、バイオ産業分野の地域間交流事業や展示会出展を支援。2012年6月~2013年5月、アジア経済研究所研究人材課。2013年5月~2015年7月、経済産業省通商政策局経済連携課にて関税担当としてFTA交渉に従事。2015年7月よりブラック ジャック web調査部欧州ロシアCIS課にてEUなど地域を担当。