ハイパーブラックジャック
最終更新日:2024年10月17日
ハイパーブラックジャック
設立手続きは、次の手順を踏む。
1. 商号の予約、2. 基本定款の登記、3. 設立総会の開催、4. 株式会社の登記(最終登記)
会社設立手続き
会社の設立登記には、通常登記手続きと、インターネット登記手続き(タイ語のみ)がある。
根拠法は、民商法典第3巻、第22編、第4章の会社法に基づく。
通常の手続きは、概ね、次の4つのステップを踏む。会社設立登記に要する日数は、準備すべきデータ・書類がスムーズに提出されれば、1カ月~1カ月半。なお、民商法改正(2022年11月8日官報掲載。2023年2月7日施行)により、従来、最低3人が必要とされていた発起人および株主が、2人で足りることとなっている。
商号の予約
商号の予約は、新会社の発起人によって行われなければならない(ただし、基本定款登記および会社設立登記を同日に行う場合は、株主によって予約することも可能)。商号に類似商号がないことを確認する。
会社名(商号)を管轄当局に予約申請し、類似商号がないか、または省令で禁止する商号でなければ、新会社に使用する許可が下りる。許可は、通常、即日下りる。当局に承認された商号は30日間有効である。申請者が、指定期間内に基本定款を登記しなければ、予約の有効性は消滅し、改めて予約し直さなければならない。
基本定款の登記
基本的に、2人以上が集まり各自の名前を定款(基本定款)に署名すれば、株式会社を設立・組織できる。基本定款の登記料は500バーツである。ただし、2024年1月1日から2026年12月31日までの間、ナラーティワート県、パッタニー県、ソンクラー県等における登記料は半額となっている。基本定款の要件は、次のとおり。
- 会社名
- 登記資本金、発行株式数、1株当たりの額面価額
*法律上、1株当たりの額面価額は最低5バーツと決められているが、額面価額100バーツか1,000バーツが多い。この段階で、会社は、登記資本金額を決定する必要がある。 - 設立目的
*外国人事業法などにより、制限される業種もある。 - 発起人の氏名、住所、職業、国籍、署名および各人が出資する株式数
*発起人は最低2人の個人で、形式的に、1人最低1株を引き受ける。 - 登記した会社事務所が所在する県名
- 取締役の負う責任
設立総会の開催
株式の引き受けが完了すると、発起人は設立総会を遅滞なく開催して、次の事項を検討し、承認を得なければならない。
- 付属定款の採択(株主総会・取締役会などの会社の規定)
- 発起人の設立準備行為に関する承認
- 当初の取締役の選任と権限の取り決め、および監査人*(Auditor、公認会計士)の選任
- 株式引受人の氏名、地位、住所、引受株式数等のリストの承認
- 株式対価の支払
*「監査人」は公認会計士でなければならず、いわゆる日本企業における監査役とは違うことに注意。タイでは会社の規模を問わず、すべての会社に対して、監査人による監査義務が課せられることに注意する必要があり、監査を担当するタイ人公認会計士の氏名および免許番号を報告しなければならない。
会社の登記(最終登記)
設立総会開催後、発起人は事業を取締役に委ねる。取締役は直ちに、発起人および株式の引受人に、それぞれの株式に対する金銭の支払いを最低25%要求する。支払いがなされれば、取締役は、会社の登記申請を行わなければならない。登記局に支払う登記料は5,000バーツである。なお、設立総会の開催後、3カ月以内に登記されない場合は、会社の設立ができないことに注意。登記申請には、設立総会の決定に従い、次の事項を含まなければならない。
- 株主氏名、住所、職業、国籍、持株数(株主は、常時最低2人必要)
- 取締役および代表取締役の氏名、住所、職業
*取締役が個別に代表権を持つ場合、それぞれの権限および会社を法的に拘束する署名を行える取締役の人数と氏名 - 代表取締役の代表権(サイン権)の形態(単独署名か共同署名か)および署名
- 本社および会社の各支所の住所
- 付属定款(株主総会、取締役会などに関する会社規則)
- 株式により受領した初回資本金払込総額(登記資本の25%以上。なお外国人の労働許可の条件となる資本金額(1人につき最低200万バーツ)はこの実際振込額。またBOI認可企業は、生産開始までに登録資本の100%の振込が条件となっていることに注意)
なお、500万バーツ超の登録資本の会社は、次のものを提出する必要がある。
- サイン権を有する取締役が資本金払込額、設立のための申請書を受領したことの商業銀行による証明書(登記日に提出)
- 実際に振り込まれた資本金額に基づき、資本金が株主から当該サイン権を有する取締役により集められ、会社に振り込まれたことの証拠として、商業銀行による証明書(会社登記の日から15日以内に提出)
- 現物出資の場合には、資産の所有者が当該資産を会社に譲渡することを確認する書面(および、当該資産が登録資産である場合には、所有に係る証書の写し)(登記日に提出)
- 労務による出資の場合には、会社が労務による出資を受領したことを確認する書類、および、労務を証する証拠(たとえば、雇用契約書)(登記日に提出)
これらの要件は、会社の増資の場合にも適用されるが、現物出資による増資の場合の提出書類は以下のとおりとなる。
- 登録資産を現物出資する場合には、会社が支払を受領したことを確認する書面、および、会社が当該資産の所有者となったことを示す書類の写し
- それ以外の資産の現物出資の場合には、会社が支払を受領したことを確認する書面、および、資産のリストの写し
主な登記局
- 商務省事業開発局(Department of Business Development:DBD)
Department of Business Development Building
563 Nontaburi Road, Muang District, Nontaburi Province
Tel:+66-2528-7600
Fax:+66-2547-4459
Hotline:1570
E-mail:saraban@dbd.go.th - バンコク登記局
Pin Klao office
Tel:+66-2446-8160~61, 67, 69
Fax:+66-2446-8191
E-mail:e-regis@dbd.go.th -
Pahol Yothin office
Tel:+66-2618-3340~41
Fax:+66-2618-3343~4
E-mail:e-regis@dbd.go.th -
Ratchadaphisek office
Tel:+66-2276-7255, 58
Fax:+66-2276-7263
E-mail:e-regis@dbd.go.th -
Si Phraya office
Tel:+66-2234-2951~3
Fax:+66-2266-5853
E-mail:e-regis@dbd.go.th -
Srinakarin office
Tel:+66-2108-6076-77, 79
Fax:+66-2108-6078 -
The Government Complex
Tel:+66-2143-7921~2
会社設立に必要なその他の条件
- VAT登録
商品販売またはサービス提供のビジネスを予定している事業者は、事前に付加価値税(VAT)の登録申請をすることができる。ただし、年間収入が180万バーツに達した場合、かかる時点より30日以内に付加価値税(VAT)登録をしなければならない。 - 社会保障基金
15歳から60歳までの雇用者が対象。雇用主(株式会社を含む)は、彼らが保護対象者となった日より30日以内に、その氏名、賃金、その他の情報を届け出なければならない。政府、雇用主、従業員のそれぞれが、省令により定められた額を基金に対して拠出する。 - 労働者補償基金
労働者補償基金への登録が義務付けられており、雇用主は、一定額を基金に拠出しなければならない。
外国企業の会社清算手続き・必要書類
解散・清算手続きは、次の手順を踏む。
会社の解散・清算の手続き
株主の特別決議による解散・清算の手続きは、次のとおり。必要期間は、最短で数カ月から数年程度。
- 株主総会の開催の準備を行う。すべての株主に、株主総会の開催通知を発送する。
- 株主総会:会社の解散の決議と清算人を任命
- すべての書類を揃え、株主総会から14日以内に、商務省に解散の登記を行う。また、解散の登記の日から14日以内に、地元の新聞にて解散の公告を行い、債権者に書留郵便にて解散の連絡を行う。解散の登記の日から15日以内に歳入局に連絡、VATの登録抹消の申請、60日以内に納税者IDの返却を行う。
- 資産と負債の整理を開始する。解散の登記の日から、150日以内に、歳入局に税還付の手続きや財務諸表の提出を行う。
- 財務諸表について承認を求めるための株主総会について、少なくとも7日前に、書留郵便にてすべての株主に連絡する。
- 株主総会:会社解散についての株主総会の議事録および財務諸表について承認を得る。
- 清算中は、3カ月ごとに商務省に報告を行う。また清算手続きが1年以上に及んだ場合は、1年ごとに株主総会を開催し、清算の状況について報告しなければならない。
- 清算が完了次第、清算人は清算完了の承認を受けるための株主総会の開催について、通知を行わなければならない。通知は少なくとも7日前に、書留郵便にてすべての株主に連絡する。
- 株主総会:清算の完了について、株主総会にて承認。
- 清算の承認の日から14日以内に、商務省に、清算の申請(登記)と解散時の財務諸表を提出しなければならない。
その他
2017年5月より、事業開発局のオンラインシステムから企業の設立、解散、清算などを登録できるようになった。
現在事項証明書(affidavit)、株主リストなどの書類の取得申請はオンラインシステムを通じて行うこととされており、窓口での受取、郵送または電子ファイルでの発行を選択することができる。