デジタル
魅力的な注目市場分野

(1)AI:活発化する官民投資

AIの急速な普及や、政府の関連支出の増加を背景に、国内の市場規模は拡大傾向にあります。特に生成AIに関する注目が高まっており、国内需要は2023年の7.8億米ドル*(1,188億円)から、2030年には117.4億米ドル*(1兆7,774億円)と、年平均成長率47.2%の急拡大が見込まれています(図表5)。

図表5「生成AI市場の国内需要額見通し(2023年度-2030年度)」

〔出所〕電子情報技術産業協会のデータを基にカジノ ゲーム 無料作成29

日本政府もAI分野の取り組みに注力しています。政府の2023年AI関連予算は7.5億米ドル*(1,138億円)と年々増加傾向にあり、AI利用促進、基盤モデルの研究開発、リスク対応などの取り組みが行われています30。AIの競争力強化に加え、昨今の不確実性を考慮し、国内における基盤クラウドサービスの安定供給31に向けて精力的に対応しています。

特に、生成AIの汎用性の高さが、国内投資や外国カジノ ゲーム 無料の参入の活発化に繋がっています。外国カジノ ゲーム 無料の進出例として、大規模言語モデル(以下LLM)を開発するOpenAI(米国)による初のアジア拠点設立32や、画像や映像の描画に必要となる半導体チップ(画像処理装置:GPU)を強みとするNVIDIA(米国)の開発拠点整備33などが挙げられます。

国内大手各社も、海外企業との提携を通じたAIサービスの普及や開発を実施しています。日本特有の事情への精通や資金力を有する国内企業と、カジノ ゲーム 無料提携してサービス開発を行っています。例としては、日本語に特化したLLM開発を目指す富士通とCohere(カナダ)の提携34や、SGホールディングス・佐川急便・住友商事とロボットAI開発のDexterity(米国)による「AI搭載の荷積みロボット」の協働実証35などが挙げられます。

上記の通り、AIにおける開発や実証等における外国カジノ ゲーム 無料の参入が始まっています。今後は業務支援や製品開発、創作活動等、多くの産業における広範な活用を背景に、関連するソフト・ハード製品の需要拡大が見込まれます。特に、サービス業や製造業では、依然として人的資源に依存する業務も多く、先進的なデジタル技術を有する外国カジノ ゲーム 無料にとって豊富な連携機会があると考えられます。


(2)サイバーセキュリティ:顕著な外国カジノ ゲーム 無料参入実績

サイバー空間は公共化、かつ相互連関や連鎖性が深化36し、個人・カジノ ゲーム 無料情報や人的交流がクラウドなどに移行しつつあります。他方、経済・軍事・技術を巡るカジノ ゲーム 無料・国家間の競争が顕在化し、政府にとり、カジノ ゲーム 無料の生産活動や国家安全保障に大きな影響を与えうるサイバー攻撃への対策も急務となっています。日本はもともとサイバーセキュリティに対する意識が高く、世界と比較して取り組みが進んでいる国の一つです。サイバーセキュリティの取り組みを評価する国際電気通信連合(ITU)の2020年世界サイバーセキュリティ指数(193カ国対象)において、日本は総合7位、アジアで3位に位置しています37。国内市場は年々拡大しており、2022年時点で96.6億米ドル*(1兆4,628億円)であり、今後は年率8-9%の割合で拡大が予測されます。参入カジノ ゲーム 無料は、昨今のサイバーセキュリティにおけるさまざまな発展、例えば社内外問わず情報資産にアクセスがあった際にセキュリティチェックを行うゼロトラストの概念の浸透、IoTをはじめとする多種デバイスの普及、テレワークによるクラウドサービスの利用拡大、生成AIの出現、日々更新されるセキュリティ指針や法改正などに合わせて、横断的に対応しています38

さらに、多様なサイバーセキュリティソリューションやカジノ ゲーム 無料、日本の各産業の事業者と提携しながら自社製品・サービスを展開しています(図表6)。

前述の通り、拡大するセキュリティニーズや、今後も出現すると考えられるさまざまな脅威への対応、それに準じた規制の刷新等により、サイバーセキュリティ分野のニーズは今後も継続することが予測されます。政府も2024年度のサイバーセキュリティ関連予算として14.06億米ドル*(2,128億円)を投入し、各省庁におけるセキュリティ強化を行っています。国家全体でセキュリティ向上に取り組んでおり、今後も同分野における事業機会は増加の一途を辿ると考えられます39

図表6「セキュリティ関連の外国カジノ ゲーム 無料参入・協業事例」

外資系カジノ ゲーム 無料 概要
株式会社スティーリアン
(韓国)
  • 東京都の「金融機関等と連携した海外カジノ ゲーム 無料誘致促進事業」により日本へ誘致され、サイバーセキュリティに係るモバイルアプリの研究開発及び販売、コンサルティングを提供。
Robust Intelligence, Inc.
(米国)
  • 日本の東京海上ディーアールと提携し、「AIセキュリティ」の実現に向けたソリューションとして、コンサルティングサービスとリスク検証プラットフォームを共同で開発・販売。
Axonius, Inc.
(米国)
  • 半導体、IT商材を扱うマクニカが、自社のサイバー資産の特定・可視化を支援するサイバーセキュリティソリューションCAASMを提供する同社と提携し、CAASM製品・サービスを国内販売。
Cato Networks
(イスラエル)
  • セキュリティとネットワークサービスを統合する「SASE」技術・サービスを提供する同社が日本法人を設立し、製造業や重要インフラ向けセキュリティ市場への本格参入と展開戦略を発表。
Allot Ltd.
(イスラエル)
  • ネットワークインテリジェンスと「サービスとしてのセキュリティ」(SECaaS)ソリューションを提供する同社が日本のブロードバンドプロバイダーである朝日ネットと提携し、ユーザーに対してネットワークトラフィック分析とリアルタイムトラフィック管理等のサービスを提供。

(3)仮想空間(メタバース):実装に事業機会

仮想空間(メタバース)の国内市場は2028年度までに198.2億米ドル*(3兆円)を超え41、ユーザー数は2030年に約1,750万人に達する42と予測されるなど、仮想空間市場は日本が強みとする豊富なIPコンテンツの活用や、クリエイターエコノミー創出などのポテンシャルを擁する有望市場です。国内ではゲーム業界のハードウェア市場をけん引するソニー・任天堂をはじめとして、プラットフォームやコンテンツ開発を行うベンチャーカジノ ゲーム 無料が複数参入しています。加えて、The SandboxやFortniteなどの外国カジノ ゲーム 無料が運営するプラットフォームは、複数の国内カジノ ゲーム 無料や自治体がPR目的で活用しています。特に外国カジノ ゲーム 無料のプラットフォームが有する世界的なユーザー数の多さに着目し、自社宣伝や観光誘致を目的に活用するカジノ ゲーム 無料や組織が増加傾向にあると考えられます。

現実世界の収集データを基に仮想空間で再現するデジタルツインは、設計やシミュレーション、モニタリング等、多岐にわたる用途で活用が検討されています。政府は主に都市開発や防災目的で各都市の地形や建物等のデータ収集・計測を行い、3Dモデル化・オープンデータ化しています43。他方、民間では製造業のプロセス最適化を中心に活用が始まっています。製品の3Dモデルを構築し、製造工程における予測不能な不具合の洗い出しや、人の動きや姿勢をモデル化し、作業環境や精神的負荷を考慮した指標の設定に役立てるといった活用事例があります。今後は製造業での活用拡大に加えて、技術継承や業務効率化への期待から、銀行・金融サービスをはじめとする他産業でのポテンシャルが見出されています。他方、デジタルツインの活用にあたり、多種デバイスを活用したデータ収集が進みつつも、データを集約する統合プラットフォームや、データ連携を最適化する実行計画系ソフトウェアの開発・実装で課題を抱えるカジノ ゲーム 無料が多く、上記において強みを有する外国カジノ ゲーム 無料との連携や、システム構築に対応できる人材の確保が求められています44

メタバースの導入・応用は、自社製品・サービスのPRや、防災・不具合の検知などのリスク予防の観点での活用が注目されており、政府は魅力的な事業環境や投資環境の整備に向けて、各国との共通認識の形成や相互運用性の確保、事業者向けのガイドラインの策定を検討しています45。世界標準に足並みを合わせた制度設計や環境整備が進むことにより、外国カジノ ゲーム 無料の日本市場参入の後押しとなることが期待されます。


(4)Web3.0:進む事業環境の整備

情報の受発信を実現したWeb1.0、ビッグデータ等の情報集約が進んだWeb2.0に続き台頭したWeb3.0は、ブロックチェーン技術を用いて自律分散的に情報を処理します。情報の安全性が向上し、暗号資産や非代替性トークン(NFT)等を活用した新サービスの創業や消費活動、資産形成(トークン経済)が始まっています46

政府のWeb3.0に対する取り組みは、国境横断的なプロジェクトの醸成、イノベーションを生み出しやすい、柔軟性のある規制の整備などが挙げられます47。日本は暗号資産に関する規制をいち早く導入した一方、規制水準がイノベーションの足かせとならないよう、法人の暗号資産の継続的な保有等について、一定の要件に基づき課税対象外とする制度48や、投資事業有限責任組合(LPS)の取得および保有が可能な資産に暗号資産を追加する49など、税制上のメリット付与や、Web3.0に関連するスタートアップ投資の促進を目的とした環境整備を行っています。

こうした政府のWeb3.0に対する前向きな姿勢から、近年複数のブロックチェーン開発の海外スタートアップカジノ ゲーム 無料が日本への進出を果たしています。専門性の高い技術を有し、規制や市場面において今後変化が予測される日本の状況に柔軟に対応できる外資系カジノ ゲーム 無料と、国内カジノ ゲーム 無料や機関が協業しながらサービスを展開しています。例としては、dApp Technology(カナダ)の日本法人設立50や富士通とSettleMint(ベルギー)の戦略的提携51などがあり、今後も同様の連携機会の増加が見込まれます。


(5)フィンテック:光る外資の活躍

日本の金融業界におけるデジタル化は伸びしろがあり、今後の市場拡大が期待されます。日本は治安の良さ、充実した現金インフラシステムや、クレジットカードの高額な決済手数料52により現金利用の志向が強く、キャッシュレス決済比率は2023年で39.3%です。他方、キャッシュレス決済比率は増加傾向にあり、決済手段の多様化が進んでいます。特にコロナ禍以降は、コード決済の普及が著しく増加しています(図表7)。

図表7「日本における各キャッシュレス決済額構成比率に占める決済手段の割合推移(%、2019年基準)」

〔出所〕経済産業省のデータを基にカジノ ゲーム 無料作成53

金融機関におけるクラウドサービス利用は、現時点では顧客情報や決済業務に関連しない業務における導入が中心であり、基幹である勘定系システムへのクラウド導入が今後の主眼になると考えられます。導入にあたり、可用性の拡大やコスト等の課題が指摘されており54、金融機関固有のニーズに幅広く対応し、システムの導入・保守・運営の効率化に貢献する製品・サービスが求められています。

中小カジノ ゲーム 無料においてもフィンテック導入は広がっています。2023年から開始したインボイス制度(売り手が正確な適用税率や消費税額等の領収証への記載を行った場合、買い手の仕入税額が控除される)に伴い、政府は中小カジノ ゲーム 無料・小規模事業者を対象に会計・決済ソフトやハードウェアの導入補助金を設置しました55。国税電子申告・納税システム(e-Tax)との連携利用も可能なことから56、クラウド会計ソフトの利用が拡大傾向にあると推察されます57

政府は上記のとおり、フィンテックの活用を後押しするとともに、フィンテック事業者の積極的な市場参入支援を行っています。金融庁は2022年にイノベーション推進室を設立し、フィンテック関連の規制に対するサポートデスクの設置や、革新的なビジネス機会の創出を支援しています。外国カジノ ゲーム 無料に対しても拠点開設に関する窓口の設置や、マッチングイベントなどを実施しています58

フィンテックの市場拡大に伴い、近年は送金・決済関連の外国カジノ ゲーム 無料を中心とした市場参入が見られます。決済事業大手のPayPal(米国)は、オンライン上の買い物をコンビニ決済や銀行振込で行う決済プラットフォームを提供する日本のベンチャーカジノ ゲーム 無料Paidyを買収しました。約924.8億米ドル*(14兆円)に達する日本の電子商取引(B2C)市場規模59や、Paidyの独自性の高い決済サービスおよび同社の有する豊富なアカウント数・加盟店数などが買収要因と考えられます60。また、フィンテックベンチャーのWise(英国)は破格の手数料で海外送金ができるサービスを展開しています。日本では海外送金に取引額の上限設定はなく、一般的に7%以上の手数料が課されます。従来の手数料の10分の1の料金を課すWiseは、需要ポテンシャルの高さから参入に至ったと考えられます61

上記の通り、日本で既にサービスを展開している事業者との提携や、国内事業者では提供が難しい優位性のあるサービス展開による参入事例が見られ、政府の支援も伴い、フィンテックカジノ ゲーム 無料に対するオープンな事業環境の形成が始まっています。



  1. *

    日銀換算レート1ドル150.07円で計算(2024年3月1日時点)


脚注
  1. 電子情報技術産業協会「JEITA、生成 AI 市場の世界需要額見通しを発表」
  2. 内閣府「令和6年度概算要求におけるAI関連予算について」(p.2)
  3. 経済産業省「経済安全保障推進法に基づくクラウドプログラムの安定供給確保に係る供給確保計画の認定等について」
  4. OpenAI Japan「Introducing OpenAI Japan」
  5. NVIDIA「NVIDIA to Help Elevate Japan’s Sovereign AI Efforts Through Generative AI Infrastructure Build-Out」
  6. カジノ ゲーム 無料「カナダの生成AIスタートアップのコヒア、富士通と戦略的パートナーシップ締結」
  7. 佐川急便「働き手不足を解消する業界初『AI搭載荷積みロボット導入』への挑戦」
  8. 内閣サイバーセキュリティセンター「サイバーセキュリティ戦略」(p.6)
  9. ITU「Global Cybersecurity Index 2020」(pp.25,29)
  10. 日本ネットワークセキュリティ協会「国内情報セキュリティ市場 2023年度調査報告」(pp.8,11)
  11. 内閣サイバーセキュリティセンター「政府のサイバーセキュリティに関する予算」(p.1)
  12. 各社プレスリリース
    Stealien「【世界に挑戦する韓国サイバーセキュリティカジノ ゲーム 無料】 (12) スティリオン」
    Robust Intelligence「Robust Intelligence、東京海上ディーアール社と日本カジノ ゲーム 無料のAI活用支援を目指す協業を開始」
    マクニカ「Visualizes and analyzes information from multiple tools to support appropriate security measures」
    Cato Networks「SASE(サシー)プラットフォームのリーディングベンダー、Cato(ケイト) Networks(ネットワークス) 日本法人を設立し、国内市場への攻勢を加速 拡大するクラウドサービス需要に対応し、マーケティングとチャネル開拓を強化 PoP接続拠点を東京・大阪の2ヵ所体制に」
    Allot「Japanese Broadband Provider Asahi Net Launches Allot Traffic Management Solution」
  13. 野村総合研究所「デジタル化促進によるICT・メディア市場の変革」(p.20)
  14. 総務省 安心・安全なメタバースの実現に関する研究会(第1回)「事務局資料」(pp.4,66)
  15. 総務省「令和5年度情報通信白書」(第1部第1節(2)デジタルツイン)
  16. カジノ ゲーム 無料「GVCの変化がもたらす影響【メタバース・デジタルツイン(産業用途)】」(p.16)
  17. 総務省「『Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会』報告書骨子(案)」(pp.22-24)
  18. 経済産業省「Web3.0事業環境整備の考え方」(p.11)
  19. 前掲注46(p.40)
  20. 経済産業省「(3-5)第三者保有の暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し」
  21. 経済産業省「『新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案』が閣議決定されました」
  22. カジノ ゲーム 無料「カナダ発、ブロックチェーンシステム開発企業のdAppが日本法人を設立」
  23. 富士通「富士通とSettleMint、ブロックチェーンビジネスにおける戦略的提携により、システム開発を加速し適用分野を拡大」
  24. 経済産業省「キャッシュレス将来像の検討会(概要版)」(p.24)
  25. 経済産業省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました」
  26. 日本銀行「金融機関におけるクラウドサービスの利用状況と利用上の課題について」(pp.2-7)
  27. TOPPAN(中小カジノ ゲーム 無料基盤整備機構、中小カジノ ゲーム 無料庁)「インボイス枠(インボイス対応類型)」
  28. 国税電子申告・納税システム「e-Taxソフト(WEB版)についてよくある質問」
  29. 総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」(p.6)
  30. 金融庁「イノベーション推進に向けた金融庁の取組み」
  31. 経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書」(p.5)
  32. PayPal「ペイパル、Paidyを買収へ」
  33. Wise「WISE GRANTED TYPE 1 FUNDS TRANSFER SERVICE PROVIDER LICENCE IN JAPAN, READIES FOR NEXT PHASE OF GROWTH」

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