4月の米小売売上高は0.9%増、4カ月連続の増加

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月18日

米国商務省の速報(5月17日付)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2022年4月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.9%増の6,777億ドルと、4カ月連続の増加になり(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の1.0%増とほぼ一致した。なお、3月の売上高は0.5%増(速報値)から1.4%増に上方修正された(関連ブラック ジャック トランプ)。

自動車・同部品、無店舗小売り、フードサービスなどが押し上げ要因に

業種別にみると、自動車・同部品が前月比2.2%増の1,322億ドル、寄与度0.42ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、無店舗小売りが2.1%増の1,068億ドル(寄与度:0.33ポイント)、フードサービスが2.0%増の837億ドル(0.24ポイント)で増加に寄与した。一方、ガソリンスタンドは2.7%減の623億ドルと減少した。

今回の発表を受け、全米小売業協会(NRF)のチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンズ氏は「消費者は物価上昇を受け入れ、回復力を維持していることを示すもの」だとした。売り上げ増に寄与した要因について、イースター(復活祭)(注1)やパスオーバー(過ぎ越し)(注2)などの祝日による支出や確定申告の税還付などを挙げた。「ガソリン価格の高騰、金利の上昇、全体的な物価圧力は引き続き消費への逆風となっているが、賃金や雇用の増加がそれらを相殺する追い風となっており、今後緩やかではあるが安定した消費の伸びをもたらすだろう」との見方を示した(NRFプレスリリース5月17日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

また、民間調査会社コンファレンスボードが4月26日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした4月の消費者信頼感指数は107.3と、3月(107.6)より0.3ポイント減少した。内訳をみると、現況指数は152.6(3月:153.8)で1.2ポイント減少した一方で、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は77.2(3月:76.7)で0.5ポイント増加した。コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は同日の発表で、「現況指数は低下したが、依然としてかなり高く、第2四半期前半に景気が拡大し続けたことを示唆している」とした。また、「期待指数はまだ弱いものの、特にガソリン価格の高騰やウクライナ戦争の影響で物価が上昇する中、これ以上悪化することはなかった」「休暇の意向は冷え込んだが、自動車や家電製品のような高額商品の購入意向はやや上昇した」と付け加えた。一方、先行きについては、インフレやウクライナ戦争は引き続き信頼感を下押しするリスクとなり、今年の個人消費をさらに抑制する可能性がある、と指摘した。

(注1)イエス・キリストの復活を祝うキリスト教の重大なイベントで、毎年「春分の日以降、最初の満月の後の最初の日曜日」として定められている(2022年は4月17日)。NRFによると、2022年には同日を祝う米国人の消費額は総額208億ドルに相当した。

(注2)奴隷状態にあったユダヤ民族のエジプト脱出を記念するユダヤ教の主要な祝日で、通常8日間続く(2022年は4月15~23日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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