3月の米小売売上高は前月比0.5%増、ガソリン価格の高騰などが寄与
(米国)
ニューヨーク発
2022年04月20日
米国商務省の速報(4月14日付)によると、3月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.5%増の6,657億ドルで、3カ月連続の増加となったものの(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.6%増を下回った。なお、2月の売上高は0.3%増(速報値)から0.8%増に上方修正された(関連ブラック ジャック やり方)。
ガソリンスタンド、総合小売り、食品・飲料などが押し上げ要因に
業種別にみると、ガソリンスタンドが前月比8.9%増の639億ドル、寄与度プラス0.78ポイントで、全体を最も押し上げた。ロシアのウクライナ侵攻に伴うガソリン価格の高騰はここ数週間で落ち着いてきているものの、全米自動車協会(AAA)によると、1ガロン(約3.8リットル)当たりの平均ガソリン価格は4.07ドルで、1年前に比べて42%上昇している。次いで、総合小売りが5.4%増の749億ドル(寄与度プラス0.58ポイント)、食品・飲料が1.0%増の791億ドル(同プラス0.12ポイント)で増加に寄与した。一方、無店舗小売りは前月比6.4%減の904億ドルと減少した。
全米小売業協会(NRF)のチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンズ氏は、物価が高騰し、一時的に消費意欲を減退させたが、消費者が消費意欲を取り戻したため、売上高は健全だったと述べた。ただし、先行きについては「消費者はガソリン価格の高騰に直面しているが、今後数カ月の間に米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を引き締めるため、金利の上昇にも直面することになる」「FRBの課題は、景気を劇的に減速させることなく需要を冷え込ませること」との見方を示した(NRFプレスリリース4月14日)。
また、民間調査会社コンファレンスボードが3月29日に発表した3月の消費者信頼感指数は107.2と、2月(105.7)より1.5ポイント上昇した(添付資料図参照)。内訳をみると、現況指数は153.0(2月:143.0)で10.0ポイント上昇した一方で、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は76.6(2月:80.8)で4.2ポイント減少した。コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は同日の発表で「現況指数は大幅に上昇し、第1四半期(1~3月)後半も経済成長が続いていることを示唆している」とした一方で、期待感の減少については、ガソリン価格の上昇やウクライナ情勢を要因として挙げた。また、先行きについて「これらの逆風は短期的には続くと予想され、今後数カ月の間に消費意欲をさらに冷え込ませる可能性がある」との懸念を示した。
(樫葉さくら)
(米国)
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