米下院がつなぎ予算法案を否決、政府閉鎖の可能性高まる

(米国)

ニューヨーク発

2024年12月20日

米国連邦議会下院は12月19日、2025会計年度(2024年10月~2025年9月)の歳出法案成立までの間、政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算法案の修正案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を賛成174票、反対235票、棄権1票で否決した。米国の主要メディアが報じた。週内に合意に至らない場合には政府閉鎖となるが、今後の情勢は不透明だ。

今回否決された法案は、ドナルド・トランプ次期大統領らの批判を受けて12月17日に発表された法案(2024年12月19日記事参照)に修正が加えられたもので、事前にトランプ氏も支持を表明していた。

修正法案では、当初の法案と同様、(1)3月14日まで現状と同水準の支出を維持、(2)ハリケーンなどの被災に対応するため災害援助資金を追加、(3)農業法を1年間延長、(4)3月に発生したボルティモア港の事故によって崩落した橋の再建費用(2024年4月9日記事参照)を連邦政府が負担などの条項は維持されていた。一方で、米国メディアによると、農業関連で盛り込まれていたトウモロコシなどから生成されるバイオエタノールの通年販売を承認する条項や、議員歳費に関する条項、小児がん研究に対する資金を提供する条項など複数の条項が削除されたもようだ。

また、修正法案には、トランプ氏の要望を反映して債務上限の適用を2027年1月30日まで停止する条項が盛り込まれていた。仮に債務上限が停止された場合、次期政権下でトランプ減税の延長をはじめとする財政政策を、財政赤字の規模に縛られることなく実施することが可能となるため、これが今回の採決に当たっての最大の争点となった。

同条項に対しては、ハキーム・ジェフリーズ下院少数党院内総務(民主党、ニューヨーク州)が、下院共和党は政府閉鎖の脅しの下、「議会をほんの一握りの富豪や億万長者の意向に従わせようとしている」(「ワシントン・ポスト」紙電子版12月19日)と述べるなど民主党が反対したほか、チップ・ロイ下院議員(共和党、テキサス州)をはじめ財政緊縮を主張する共和党保守派からも強い批判があり、共和党からも30人を超える反対票が投じられた。

(加藤翔一)

(米国)

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