2025年連邦予算、国防費が大幅増、社会保障、経済対策は削減
(ロシア)
調査部欧州課
2024年12月11日
2025年のロシア連邦予算が12月1日に成立した。11月30日付連邦法第419-FZ号「2025年の連邦予算と、2026年、2027年の連邦予算計画について」にウラジーミル・プーチン大統領が署名したことによるもの。歳入は40兆2,961億ルーブル(約60兆4,442億円、1ルーブル=約1.5円)、歳出は41兆4,695億ルーブルで、1兆1,734億ルーブルの財政赤字を見込み、2022年から4年連続で赤字になる見通しだ(注1)。2026年、2027年の予算計画でも赤字を見込んでいる。
財政赤字の補填(ほてん)は主として国債発行で賄う。償還額を差し引いた国債発行額は2025年以降、それ以前を大きく上回る3兆ルーブル台が毎年見込まれている。これまで財政赤字補填の主要な財源として活用されてきた国民福祉基金からの繰り入れは、2025年は5億5,000万ルーブルと大幅に抑制され、2026年以降は想定されていない。
2025年の歳出の内訳(注2、添付資料図参照)を見ると、最大の支出項目となった国防費は2024年予算(2024年7月修正予算ベース)比で9.2ポイント増(注3)となり、全体の32.5%を占めた。金額では13兆4,900億ルーブルで、初めて10兆ルーブルの大台を突破した。国防費は2022年以降、毎年大幅に増加しており、安全保障・治安と合わせた額は2025年連邦予算の約4割を占める。
その一方で、2024年まで最大の支出項目だった社会政策は前年比28.1%減の6兆4,900億ルーブルにとどまった。産業政策、経済対策などが含まれる国民経済は前年比10.2%減の4兆3,500億ルーブルとなった。
(注1)2022年は当初予算ベースでは黒字見込みだったが、歳出の拡大により、通年では大幅な赤字となった(2021年12月3日、2023年5月31日記事参照)。
(注2)政府原案ベース。
(注3)四捨五入の関係で、図にある数値を基に計算した差と0.1ポイント合わない。
(欧州課)
(ロシア)
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