欧州自動車工業会、EUに競争力強化や規制緩和に関し提言

(EU)

ブリュッセル発

2024年12月18日

欧州自動車工業会(ACEA)は12月10日、EUの自動車産業行動計画の策定に向けた提言書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

提言書は、(1)強固な産業政策による欧州のビジネス環境改善、(2)市場主導のゼロエミッション化の推進が可能な条件整備、(3)企業の規制順守に伴う負担軽減と規制の簡素化の3本柱からなる。具体的には、EU域内で生産コストを削減するため、高い人件費、エネルギー価格やバッテリー生産体制に対応することや、電気自動車(EV)充電・水素充填(じゅうてん)インフラの整備加速、EU加盟国によるゼロエミッション車の購入支援の継続などを提言した。

特に重視する(3)規制緩和については、具体的な提言書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。規制の簡素化・順守コスト削減に向け、関連法令を要件ごとにグループ化して一貫性を確認するよう提言。既存の規制に基づき生産された車両に新たな規制を適用しないことや、採択前に新たな規制による影響や一貫性を確認するため、欧州委員会内に関係者も参加可能な組織を立ち上げることを提案した。

欧州議会最大会派も競争力低下を憂慮、技術中立への立ち返りを提言

EUは、自動車産業の競争力回復に向け対応を急いでいる。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は11月27日、域内生産支援に向け、関係者間の戦略的対話の立ち上げを表明した(関連ブラック ジャック ルール)。欧州議会の最大会派・欧州人民党(EPP)グループ(中道右派)は12月11日、自動車産業の競争力強化に関する提言書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。EVは気候中立実現に主導的な役割を果たすとしつつも、技術中立の原則に立ち返り、新車の乗用車・小型商用車(バン)の二酸化炭素(CO2)排出基準に関する規則の早期見直しなどを提言した。乗用車は2025年から新たなCO2排出基準が課されるが(欧州自動車工業会、EV販売の減速受け、ブラック)、基準未達によるメーカーへの罰金を回避する一時的な措置を講じる、もしくは回収した罰金を自動車部門への投資に充てる必要があるとした。

ACEAは同日、メーカーはEV需要の低迷により、2025年からの排出基準順守は厳しく、2024年内に生産縮小など「不可逆的な対応策」を決定する必要に迫られていると指摘。基準順守に向け、EUに柔軟な対応を求めるEPPの提言を強く支持するとした(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(滝澤祥子)

(EU)

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