欧州自動車工業会、EV販売の減速受け、CO2排出基準規則の見直しの前倒しを提言

(EU)

ブリュッセル発

2024年09月25日

欧州自動車工業会(ACEA)は9月19日、EUに対し、新車の乗用車・小型商用車(バン)および大型車の二酸化炭素(CO2)排出基準に関する規則の見直し時期の前倒しを提言した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。背景には、電気自動車(EV)の販売低迷がある。

EUでは、2023年5月に乗用車・バンの、2024年6月に大型車のCO2排出基準に関する規則を改正した。排出基準をそれぞれ2035年、2040年にかけて段階的に厳格化し、電動化を推進するが、乗用車・バンは2026年、大型車は2027年に進捗状況を評価し、規則を見直すことが定められている(関連ブラック ジャック webEU、トランプ ゲーム ブラック)。

EUのEVの販売台数は近年、大きく増加していたが、ACEAが同日発表した乗用車の新車登録台数の統計PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2024年1~8月のバッテリー式EV(BEV)の新車登録台数は前年同期比8.3%減となった。ACEAは、EUではEVの生産拡大や購入促進に必要な条件が十分に整っていないと指摘。現行規則は近年の地政学、経済の変化を考慮しておらず、状況の変化に応じ即時に法改正をすることは不可能で、欧州自動車部門の競争力は低下する一方だとした。

そこで、こうした状況を改善させ、競争力を強化するため、乗用車・バン、大型車のCO2排出基準に係る規則の見直しを、ともに2025年に前倒すことを提言した。迅速かつ包括的な見直しと同時に、対象を絞った二次法の制定も必要だとした。

また、乗用車は2025年から新たな排出削減目標が課されるが(注)、現況から達成困難の可能性があると懸念を表明。基準未達に伴う罰金により、脱炭素化関連投資や雇用などに影響が及ぶ可能性があるとして、短期的な救済策を講じることも提言した。

(注)2025年目標は、2019年の乗用車・バンの排出基準に関する規則改正時に設定された。乗用車(新車)のCO2排出量を2021年比で15%削減し、排出上限値を1キロ当たり93.6グラムに引き下げる(現行は95グラム)。

(滝澤祥子)

(EU)

ビジネス短信 1e26a9b215d3106f