マクロン大統領、辞任の可能性否定
(フランス)
パリ発
2024年12月09日
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は12月5日、下院でのバルニエ内閣不信任案の可決(2024年12月6日記事参照)を受けて、国民向けにテレビ演説を行った(プレスリリース、フランス語)。この中でマクロン大統領は、ミシェル・バルニエ首相が同日付で提出した辞表を受理したと述べ、近く新たな首相を指名すると予告した。自身の辞任については、可能性を否定した。
マクロン大統領は内閣不信任案が可決されたことについて、「極右と極左が反共和国戦線を組み、かつてフランスを統治していた政治勢力がそれを助けたためだ」と説明した。極右政党「国民連合(RN)」、極左政党「不服従のフランス(LFI)」、穏健左派「社会党」などの議員たちがクリスマス直前に内閣を倒して予算成立を妨げ、混乱を引き起こしたことを無責任だと非難した。
さらに、これらの議員たちは大統領選を意識して行動したと指摘した上で、自身の任期は5年間で、2027年の任期満了まで大統領職にとどまり、国家と国民のために責任を果たすと述べて、辞任の可能性を明確に否定した。
今後の政局運営については、数日中に新首相を任命し、政府に参加するか、または少なくとも不信任案を提出しないことを約束する政治勢力による政権を樹立するよう指示すると述べた。マクロン大統領は新政権の最優先課題は予算だとして、12月中旬までに特別法案を議会に提出して、2024年の予算法が2025年にも継続されるようにした上で、年明けに新たな予算法の成立に取り組むとした。
12月5日付で総辞職したバルニエ内閣は、新内閣が成立するまで職務執行内閣としてとどまる。
フランスの政治が混乱する中で、マクロン大統領に対する国民の批判が強まっている。世論調査会社オドクサが12月5日付で発表した調査結果(注1)によると、大統領の辞任を望むと答えた人は59%と、9月の調査時点から5ポイント上昇した。別の世論調査(ハリス・インターアクティブ、12月5日付発表)(注2)では、政局混迷の責任は「国民連合」(79%)、左派連合「新人民戦線(NFP)」(78%)と、マクロン大統領(75%)にあると答えた人が多く、マクロン大統領の辞任を求める人の割合も64%に達した。
(注1)この調査は12月4~5日に、フランス国内の18歳以上の1,002人を対象に実施したもの。
(注2)この調査は12月4日に、フランス国内の18歳以上の1,008人を対象に実施したもの。
(山崎あき)
(フランス)
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