スイス連邦経済省、2024年の実質GDP成長率0.9%、2025年1.5%との予測発表
(スイス)
ジュネーブ発
2024年12月20日
スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は12月17日、2024年の実質GDP成長率(スポーツイベント調整後:注)を0.9%、2025年を1.5%、2026年を1.7%とする予測を発表した(プレスリリース、添付資料表参照)。前回9月の予測(関連ブラック ジャック ディーラー)から2024年は0.3ポイント、2025年は0.1ポイント下方修正した。
2024年の実質GDP成長率は、個人消費支出や政府消費支出、建設投資、一部のサービス部門が堅調な一方で、財貨の輸出が9月時点の予測(前年比5.1%増)から0.5%増へ大幅に下方修正されたことなどから、通年で0.9%という低成長となる見込みだ。
2025年には、住宅ローンの金利低下が建設活動を刺激するほか、雇用拡大と物価下落が見込まれることから、個人消費支出の拡大が期待できることなどにより、内需が経済の牽引役となることが見込まれる。また、輸出について4.2%増(財貨4.4%増、サービス3.8%増)を見込んでいるが、予想より上回る成長を示す米国や、引き続き経済状況が弱いドイツを含む欧州諸国など、相手国により状況が異なっている。さらに、依然として通貨スイス・フラン高が続いている。
SECOの経済予測専門家グループは、2026年には欧州経済が徐々に回復し、スイスの輸出と投資の促進に寄与するとし、2026年は1.7%の成長を予測している。
また、スイス経済のカギを握る輸出に大きな影響を与える国際経済と貿易政策を取り巻く不確実性に強い懸念を示している。貿易上の障壁や貿易摩擦は国際経済の大きなリスクとなるが、2025年1月の米国の政権交代に伴う貿易政策の変更の可能性は、この予測には含まれていない。ほかにも、ドイツ産業の不振がスイスの輸出に予想以上の圧力をかける可能性や、中国経済の成長率が期待を下回る可能性がある。さらに、中東とウクライナの武力紛争による地政学的リスクも引き続きの懸念材料だ。原材料価格や輸送コストが急激に上昇することも考えられ、インフレの波及効果から、主要通貨圏の金融緩和が予想よりも遅くなる可能性がある。世界的な債務リスクや、金融機関のバランスシート、不動産や金融市場などの既存のリスクが悪化すれば、金融市場の調整への動きが高まり、これらが現実になった場合、スイス・フランの上昇圧力も予想される。
(注)スイスには国際オリンピック委員会(IOC)や国際サッカー連盟(FIFA)、欧州サッカー連盟(UEFA)など、主要国際イベントの本部があるため、イベント開催年に放映権収入がGDPを押し上げ、翌年はマイナスに作用するのが通例。このため、SECOはこの影響を除いた調整値を別途算出している。
(パブロ・ダス、田中晋)
(スイス)
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