米商務省、台湾の半導体製造グローバルウェーハズ子会社2社への助成金確定

(米国、台湾)

シカゴ発

2024年12月19日

米国商務省は12月17日、台湾の半導体製造グローバルウェーハズの子会社グローバルウェーハズアメリカ(GWA、本社:テキサス州)とMEMC(本社:ミズーリ州)に対し、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく最大4億600万ドルの助成金拠出の確定を発表した。

この助成金は、テキサス州とミズーリ州で2社のウエハー製造施設の建設を直接支援するもので、建設で1,700人、製造で880人の雇用を創出する。商務省は2024年7月17日に、2社とこの助成金の予備的覚書(PMT)に署名しており(2024年7月23日記事参照)、同省によるデューディリジェンス完了後に助成金が提供される見込みだ。商務省は、GWAとMEMCによる建設、技術、生産、商業の目標達成度に基づき、直接助成金を提供するとしている。

グローバルウェーハズのドリス・シュー最高経営責任者(CEO)は、台湾で行われたカンファレンスコールの中で「世界的な半導体のサプライチェーンが関税の賦課に直面している今、現地化にはメリットがある」とする一方、「米国内の製造拠点で必要なもの全てを現地で調達することはできず、一部の原材料や消耗品を輸入する必要がある中で、ドナルド・トランプ次期大統領が提案している関税が不確実性を生み出している」と述べた(ロイター12月17日)。なお、CHIPSプラス法による助成金の確実性に関しては、「この法律のほかに法律的に保護されている契約もある。同法は当初、トランプ氏の1期目に提案されたもので(注)、この法律が継続される可能性は高いだろう」との見方を示した(ロイター12月17日)。

昨今、商務省によるCHIPSプラス法に基づく助成金確定の発表が相次いでおり、12月10日にも半導体メモリー・ストレージ製造大手のマイクロン(本社:アイダホ州)への助成金確定の発表があったばかりだ(米商務省、CHIPSプラス法に基づき、ブラック)。同省のジーナ・レモンド長官は政治専門紙「ポリティコ」とのインタビューで、未使用のCHIPSプラス法予算に関し、「(政権交代で)同省を去る前にほぼ全ての資金を支出したい」と述べている(「ポリティコ」11月20日)。

(注)第1期トランプ大統領の国家安全保障チームの推奨を受け、テキサス州のマイケル・マコール下院議員(共和党)が2020年に、カリフォルニア州選出のドリス・マツイ下院議員(民主党)、テキサス州選出のジョン・コーニン上院議員(共和党)、バージニア州選出のマーク・ワーナー上院議員(民主党)とともに、CHIPSプラス法の基になる法案を議会に提出。バイデン政権下の2022年8月に超党派の支持を受けて成立。

(星野香織)

(米国、台湾)

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