バルニエ暫定内閣、臨時予算定める特別法案を閣議決定

(フランス)

パリ発

2024年12月13日

フランスのミシェル・バルニエ暫定内閣は12月11日、内閣総辞職を受けて不成立となった2025年の予算法案に代わる特別法案を閣議決定した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、フランス語)。同法案は2025年1月1日からの国家機能の継続と、公共サービスの正常な運営を保証することを目的としており、2025年の予算法が採択されるまでの暫定的な措置となる。エマニュエル・マクロン大統領が12月5日のテレビ演説で導入を予告していた(2024年12月9日記事参照)。

特別法案は3つの条項から構成される。第1条は国、地方自治体、公共機関に、2024年予算法に基づいた既存の税率で税金を徴収する権限を与える。第2条と第3条は国家、社会保障機関に、金融市場から借り入れを行う権限を与えるというもの。

同法が公布されると、政府は憲法第47条に基づき、承認されたサービスに必要な予算を割り当てる政令を公布することができる。同政令により、2024年の予算法で承認された範囲内で、各ミッションやプログラムに必要な資金を割り当てることができる。

特別法案は12月16日に下院(国民議会)で、同18日には上院で審議され、2025年1月1日までに公布されなければならない。「レゼコー」紙は10日付記事で、上下院を通じて国家機能の継続を保証する特別法の制定に反対する政治勢力がいないため、「可決されることはほぼ確実だ」と報じた。下院財務委員会のエリック・コクレル委員長は11日、民放テレビ局TF1のインタビューに応じ、所属する極左「不服従のフランス(LFI)」は特別法の採決に反対しない意向を示した。

LFIと極右「国民連合(RN)」は所得税率をインフレに連動させる修正案を提出する意向を示しているが、同修正案の合憲性について、国務院は10日、「国家の機能の継続を確保するために必要とされない」措置は「特別法に含まれるべき措置」ではないとの判断を示した。所得税率をインフレに連動させる措置は、バルニエ前内閣の予算法案に盛り込まれていたもので、フランス経済観測所(OFCE)は10月、同措置が実施されない場合は38万世帯が新たに所得税の課税対象となると試算外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(フランス語)していた。

2025年予算法案に関する議論は、同年第1四半期(1~3月)に持ち越される。不成立となった予算法案には、農業者向けの大型支援措置が含まれていたため、各地で農業者による抗議デモが頻発しており、早急な対応が求められている。

(山崎あき)

(フランス)

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