EU、中国製BEVに対する相殺関税措置を発動、協議継続の方針も表明

(EU、中国)

ブリュッセル発

2024年11月06日

欧州委員会は10月29日、中国製バッテリー式電気自動車(BEV)に対する最終的な相殺関税措置を導入すると発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同日付でEU官報に実施規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを掲載し、翌30日に発動した。実施期間は5年間で、延長も可能だ。

追加関税率は、補助金の規模や欧州委の反補助金調査への協力の有無に応じて、メーカー別に設定した(添付資料表1参照)。実施規則によると、EUのBEV市場での中国メーカー車の割合は拡大し続けており、2024年第2四半期(4~6月)は14.1%を占めた。今後は迂回輸入の防止を含め、措置の実効性を監視し、調査協力企業や新規輸出事業者から要請があれば、個別関税率を設定するための審査を行うとした。

なお、7月に暫定措置が発動されたが(添付資料表2参照)、EUメーカーが重大な損害を被る事態には発展していないとし、暫定措置に基づく追加関税は徴収しないとした。

欧州委は同時に、中国政府との協議やEUとWTOのルールに即した価格約束に関するメーカーとの交渉(2024年9月26日記事参照)は継続するとした。欧州委バルディス・ドムブロフスキス執行副委員長(経済総括、通商担当)は最終措置発動直前の10月25日、中国商務部の王文涛部長とビデオ会談を行った。両者はEU市場での公正な競争を担保し、WTOルールと整合する解決策を引き続き模索することを確認し、実務的な協議を近く行うことで合意していた(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

実施規則によると、中国メーカー12社を代表して中国機械・電子製品輸出入商工会議所(CCCME)、CCCME案が受け入れられなかった場合の代替案として、3社が個別に価格約束を欧州委に提案した。欧州委はいずれも実効性に欠けると判断したが、BEV市場が急速に進化していることや、製品の複雑性などを考慮して協議を継続するとした。交渉が合意に至れば、追加関税は徴収されない。最終措置に対する中国の反発(中国、ブラック ジャック ルール)に加え、中国による報復措置に対するEU加盟国や企業の懸念も強く、交渉の行方が注目される。

(滝澤祥子)

(EU、中国)

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