米税関、人権侵害を理由にソマリア製の乳香の輸入を差し止め

(米国、ソマリア)

ニューヨーク発

2024年11月05日

米国税関・国境警備局(CBP)は11月1日、ソマリア企業が製造するフランキンセンス(乳香)に対して、製造工程での人権侵害の疑いに基づき、違反商品保留命令(WRO)を発令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日以降、当該製品の米国への輸入はCBPにより差し止められる。

米国の1930年関税法第307条は、強制労働、児童労働、囚人労働などに依拠して生産された製品の輸入を原則禁止する。CBPは、強制労働などの関与が推定される場合にWROを発令して当該製品の輸入を差し止める。輸入者は当該製品を、米国へ輸入せずにそのまま他国へ輸出するか、WROの発令に異議を申し立てることができる。

CBPは今回、ソマリア・ソマリランド地域(注1)に拠点を置く企業(Asli Maydi)が製造する乳香および乳香を使用した製品に対してWROを発令した。ILOの強制労働の指標に当てはまる状況下で製品を製造していることを合理的に示すブラック ジャック ディーラー ルールがあったとしている。CBPによると、これら製品は一般的にフレグランスやスキンケア用のエッセンシャルオイルに使用される。

今回発令されたWROを含めて、2024年11月4日時点で、51件のWROが発令されている(注2)。うち、対象企業の所在ブラック ジャック ディーラー ルールでは中国が最多で、36件のWROが発令されている。今回のWROは、2024年4月に中国企業が製造する作業用手袋に対して発令されて以来、約半年ぶりの発令となる(関連オンライン ブラック ジャック)。CBPのトロイ・ミラー局長代行は声明で、「強制労働によって製造された商品の貿易は、米国の価値観に明確に反する」「CBPは、世界中の不正な事業者、輸入業者、製造業者に(人権侵害の)責任を取らせるべく、今後も積極的な取り締まりを継続する」と述べた。

米国の人権を理由とした輸入規制には、WROに基づく規制のほか、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく規制がある。UFLPAは、中国の新疆ウイグル自治区もしくは同法の事業者リスト(エンティティー・リスト)で特定された事業者がサプライチェーンに関与する製品は、強制労働を利用して製造された製品とみなして、1930年関税法第307条に基づき製品の輸入を禁止する。CBPによると、2022年6月の同法施行以降で延べ36億2,000万ドル相当の1万160件の貨物の輸入が差し止められた(注3)。米国に輸出する企業にとっては、製品のサプライチェーンにおける日頃の人権デューディリジェンスの一環として、WROやUFLPAの対象企業との関わりを発令のたびに確認することが重要だ。

(注1)ソマリア北西部の旧英国領ソマリランド地域で、1991年5月に独立を宣言した。日本政府はソマリランドを国家として承認していない。

(注2)各WROの詳細はCBPウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(注3)UFLPAの最新動向はジェトロ特集サイト参照。

(葛西泰介)

(米国、ソマリア)

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