米税関、人権侵害を理由に中国製作業用手袋の輸入差し止め
(米国、中国)
ニューヨーク発
2024年04月15日
米国税関・国境警備局(CBP)は4月10日、中国企業3社が製造する作業用手袋に対して、製造工程での人権侵害の疑いに基づき、違反商品保留命令(WRO)を発令した。同日以降、当該製品の米国への輸入はCBPにより差し止められる。
米国の1930年関税法第307条は、強制労働、児童労働、囚人労働などに依拠して生産された製品の輸入を原則禁止する。CBPは、強制労働などの関与が推定される場合にWROを発令して当該製品の輸入を差し止める。輸入者は当該製品を、米国へ輸入せずにそのまま他国へ輸出するか、WROの発令に異議を申し立てることができる。CBPが最終的に当該製品に強制労働などの関与を認定(Finding)した場合には当該製品が押収・没収される。
CBPは今回、中国の上海賽立特安全用品(Shanghai Select Safety Products)および子会社の賽立特(南通)安全用品〔Select(Nantong)Safety Products〕、賽立特防護科技(香港)〔Select Protective Technology(HK)〕の3社が製造する作業用手袋に対してWROを発令した。3社が囚人労働を利用して当該製品を製造していることを合理的に示すオンライン ブラック ジャックがあったとしている。
今回発令されたWROを含めて、2024年4月12日時点で、52件のWROが発令され、8件が認定されている。うち、国別では対中国企業が最多で、WROが36件、認定が5件となっている。今回のWROは、2022年11月のドミニカ共和国の砂糖など(関連ブラック ジャック やり方)への発令以来、約1年半ぶりとなる。ただし、この間の人権侵害を理由とした輸入規制は、2022年6月に施行されたウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づいて執行されており、その件数は増加している。同法は、中国の新疆ウイグル自治区もしくは同法の事業者リスト(エンティティー・リスト)で特定された事業者がサプライチェーンに関与する製品は、強制労働を利用して製造された製品と推定し、1930年関税法第307条に基づき製品の輸入を原則禁止する。CBPによると、同法施行以降で28億7,000万ドル相当の7,566件の貨物が差し止められた(関連ブラック ジャック 必勝、注)。
今回のWRO発令に関するCBPの発表の中で、CBPを所管する国土安全保障省(DHS)のロバート・シルバース次官は、「米国はサプライチェーンにおける強制労働や人権侵害を容認しないという強いメッセージを輸入業界に送り続けている」「CBPの今日の行動は、われわれが全ての強制労働に対処する法律を強力に執行することを示すもの」と述べており、UFLPAだけでなく、引き続きWROも利用して強制労働に対処していく姿勢をあらためて示唆している。
(注)UFLPAの最新動向はジェトロ特集ページも参照。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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