フランスのマクロン大統領がトランプ氏に祝意表明、欧州は転換期にとの見方も

(フランス、米国)

パリ発

2024年11月08日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は11月6日、米国大統領選挙で当選が確実となった共和党のドナルド・トランプ前大統領にX(旧Twitter)で祝辞を送った。「あなたの第1期在任中のように、共に働く準備ができている。互いの信念、敬意と野心を持って、より多くの平和と繁栄のために」とコメントした。

続いてマクロン大統領は、「たった今、ドイツのオラフ・ショルツ首相と意見交換をした。この新しい状況の中で、より統一され、より強く、より主権を持つ欧州のために努力していく。米国と協力し、私たちの利益と価値を守りながら」と投稿し、欧州の主権強化に取り組む方針を明らかにした。

フランスでは、7月の下院選挙の結果を受けて中道・右派の連立政権が誕生(2024年9月25日記事参照)し、国内におけるマクロン大統領の影響力は弱まっているが、外交分野では依然、国を代表する立場として強い権限を持つ。

他方、2027年の次期大統領選挙で立候補を予定する極右「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏は同日、Xで「次期米国大統領に就任するトランプ氏の成功を祈る。今回の大統領選挙で民主主義がはっきりと示され、米国の国民は自らが自由に選んだ大統領を迎えた。この新しい政治の時代が、2国間関係の強化と国際舞台での建設的な対話と協力の継続に貢献することを願っている」と祝福のメッセージを送った。ルペン氏は以前から親トランプ派で知られており、2020年の米大統領選挙で敗北を認めなかったトランプ氏を支持する姿勢を示していた。

トランプ氏の再選により、欧州は大きな転換期を迎えるとの見方が多い。現地「ル・ポワン」誌は11月6日付コラム(ウェブ版)で、「欧州は今や自らの運命に直面している。技術の遅れや軍事力の弱さ、(トランプ氏再選による)米国からの支援の喪失。幻想の時代は終わり、疲弊したモデルの再構築が求められている」と分析した。一方、現地主要紙「ル・モンド」は同日付記事(ウェブ版)で、「地政学的な観点から、特にウクライナの未来と米国の対ウクライナ経済支援の行方が懸念される」と指摘した。欧州議会議員からは、ウクライナ支援継続に向けて、欧州が軍需生産を強化する戦時経済へ移行すべきとの声も出ている。

(山崎あき)

(フランス、米国)

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