フランス、バルニエ新内閣の閣僚人事を発表

(フランス)

パリ発

2024年09月25日

フランス大統領府は9月21日、ミシェル・バルニエ新内閣の閣僚人事を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、フランス語)。バルニエ首相が19日に中道・右派勢力のトップと会談し、組閣人事で合意した。今回、エマニュエル・マクロン大統領の承認を得て、大統領の中道「ルネッサンス」と右派「共和右派(旧・共和党)」を中心とした総勢39人の閣僚からなる中道・右派の連立政権が誕生した。

「共和右派」からは内相に、治安や移民問題などで強硬派として知られるブリュノ・ルタイヨ氏が起用され、バルニエ内閣の右派色を印象付けた。左派からの起用は国璽(こくじ)尚書、司法相に就任する「社会党」の元議員ディディエ・ミゴー氏のみとなった。

「ルネッサンス」からは、経済・財務・産業相に33歳のアントワーヌ・アルマン下院議員が任命された。アルマン氏は経済官僚出身で、7月に下院経済委員会の委員長に選出されたばかりだった。首相付の予算・公会計担当相には、元下院議員のローラン・サン=マルタン・フランス貿易投資庁(ビジネス・フランス)代表を起用した。バルニエ首相が陣頭指揮を取り、喫緊の課題である2025年の予算編成に取り組む。

経済・財務・産業相付産業担当相には、マクロン大統領に近いマルク・フェラッチ議員を任命。エコロジー移行・エネルギー・気候・リスク予防相には元エネルギー移行相のアニエス・パニエ=リュナシェ農業・食料主権相付副相を、同相付エネルギー担当相にはオルガ・ジブェルネ議員を任命するなど、経済、環境、エネルギー関連ポストはマクロン大統領の信頼が厚い人材が起用された。

バルニエ首相率いる中道・右派の連立政権は下院で約230議席を持つ最大勢力となるものの、過半数の289議席に満たず、法案成立には左派連合「新民衆戦線(NFP)」や極右「国民連合(RN)」の支持が必要となる。

今回の閣僚人事について、RNのジョルダン・バルデラ党首は22日、「この『新しい』内閣は選挙結果を尊重せずに、こっそりとマクロン主義に戻ることを意味するものだ。この政府には未来がない」と批判し、内閣不信任案を支持する可能性をほのめかした。

他方、NFPを構成する左派「社会党」のオリビエ・フォール書記長は22日、「バルニエ内閣は第五共和制下で最も右寄りの政府だ。信念的にRNに歩み寄ると主張する議員たちで構成されている。移民問題の強硬派であるルタイヨ氏の内相就任が顕著な証拠だ。われわれはためらうことなく不信任案に投票する」と宣言した。

バルニエ首相は10月1日に施政方針演説を行う予定で、その後に不信任案が採択されなければ内閣が承認される。

(山崎あき)

(フランス)

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