9月のカナダ消費者物価指数、前年同月比1.6%上昇
(カナダ)
トロント発
2024年10月21日
カナダ統計局が10月15日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.6%の上昇で、8月の上昇率(2.0%、2024年9月18日記事参照)から0.4ポイント下回り(添付資料表参照)、2021年2月以来の最も低い上昇率となった。カナダでは2024年1月以降、CPI上昇率は2%台で推移していた。
上昇ペースは全体では鈍化しているものの、9月の家賃は前年同月比で8.2%上昇しており、食品も8月と同じ2.4%増と、2カ月連続で総合インフレ率を上回るペースとなった。統計局は2021年9月との比較で、CPIは3年間で12.7%の上昇だったが、家賃(21.0%増)や食料品(20.7%増)など生活関連費の上昇がこれを上回っており、市民の生活を引き続き圧迫していると指摘している。
統計局はCPI全体の減速の主な要因として、9月のガソリン価格が前年同月比で10.7%減と、8月の5.1%減と比較しても大きく下落したためと説明している。その背景として、経済成長の鈍化への懸念による原油価格の低下などが挙げられている。
CIBCキャピタルマーケッツのエグゼクティブディレクター兼シニアエコノミストのアンドリュー・グランハム氏は「経済にみられる緩みを踏まえると、コアインフレ率は引き続き鈍化する見通しで、2025年のインフレ率が目標の2%を下回るのを防ぐため、中央銀行が利下げによって経済成長を後押しする余地が十分にある。われわれは10月の中銀会合で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを予測しており、2025年半ばまでには、政策金利は(現状の4.25%から)2.25%に下がると見ている」とコメントしている(CIBCエコノミック・フラッシュ9月15日)。
中銀の次回の政策金利発表は10月23日に予定されている。
(井口まゆ子)
(カナダ)
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