8月のカナダ消費者物価指数、前年同月比2.0%上昇

(カナダ)

トロント発

2024年09月18日

カナダ統計局が9月17日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、2021年2月以来最も低い、前年同月比で2.0%上昇となり、2024年7月の上昇率(2.5%、関連ブラック クイーン ブラック)を0.5ポイント下回った(添付資料表参照)。カナダでは、2024年1月以降、CPI上昇率は2%台で推移している。

統計局は、上昇率鈍化の主な要因として、ガソリン価格(5.1%減)の安定を挙げた。ガソリン価格は、7月(1.9%増)から2.6%の下落となったが、これは、基準年効果と、米国の景気懸念や、中国の需要減速を背景とした原油価格の下落によるものと説明している。一方、住宅ローン金利と家賃は引き続き上昇している。

また、衣料品・靴の価格は、8カ月連続で下落し、7月(2.7%減)に続き、4.4%下落した。これらの価格が8月に下落するのは1971年以来だ。例年、8月は学校の新学期開始に合わせて衣料品を購入する時期であり、需要の高まりが価格上昇圧力となるが、2024年8月は、需要減少から小売業者が消費者に対して高い割引率を提供したことにより、価格が下落したとみられている。

発表を受けて同日、トロント・ドミニオン銀行の調査部門TDエコノミクスのディレクター兼シニアエコノミストのジェームズ・オーランド氏は「現在の政策金利は、ここ数カ月で75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)も引き下げられた後だが、現状の経済に基づくと、あるべき水準より200 bp近く高い。市場で50 bpの大幅な利下げ期待が高まっているのも不思議ではない」とコメントしている(TDエコノミクス9月17日)。

同様に、CIBCキャピタルマーケッツのエグゼクティブ・ディレクター兼シニアエコノミストのアンドリュー・グランハム氏は「(今回の結果から)インフレは依然として脅威ではなく、中銀は景気刺激策と失業率上昇の抑制に注力すべきだということだ。現在から2025年半ばまでに、さらに200 bpの利下げが実施されると予想する」とコメントしている(CIBCエコノミック・フラッシュ9月17日)。

中銀の次回の政策金利と経済見通しを示す金融政策報告書の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは10月23日に予定されている。

(幡野裕一)

(カナダ)

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