英国ではハリス氏支持が多数、支持政党によってばらつきも
(英国、米国)
ロンドン発
2024年10月30日
英国の調査会社ユーガブが10月15日から16日にかけて実施した米国の大統領選挙に関する世論調査によると、回答者の約3分の2(64%)が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を次期米国大統領として望んでいるのに対し、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領の再任を期待しているのは6人に1人(18%)という結果だった。5月の調査結果と比較すると、ハリス氏に対する支持率は、撤退前のジョー・バイデン氏の支持率を上回っている。
内訳をみると、中道左派の労働党と自由民主党の支持者はそれぞれ83%、86%がハリス氏を支持しており、特にその傾向が強い。なお、保守党支持者の過半数(57%)もハリス氏を支持、トランプ氏を支持すると回答した割合は25%だった。一方、ナイジェル・ファラージ氏率いる右派のリフォームUK支持者では、トランプ氏を支持する割合(54%)がハリス氏(26%)を上回った。
トランプ氏は、輸入品に対する「ベースライン関税」を主張している(2024年8月9日付地域・分析レポート参照)。IMFが10月22日に発表した世界経済見通しでは、米国による関税引き上げが世界経済の下振れリスクになると試算されている(2024年10月23日記事参照)。
調査会社イプソスが7月24~25日に英国で実施した意識調査では、トランプ政権の誕生が英米関係にネガティブな影響を与えると回答した割合が52%を超えていた。一方、英国の調査会社のキャピタルエコノミクスによれば、トランプ大統領によるベースライン関税の導入は英国のインフレ率を高める可能性はあるものの、英国経済に与える影響は大きくないとされている。
共和党陣営は労働党による「干渉」を指摘
トランプ氏の選挙陣営は、英国の労働党による「露骨な干渉」があったとして、米国連邦選挙管理委員会(FEC)に苦情を申し立てた。具体的には、労働党のソフィア・パテル氏による自身のSNSでの米民主党支援に向けた渡米の企画に関する投稿を問題視。BBC(10月23日付)によれば、外国人が米国での選挙活動に参加する場合、無償であることが条件とされている。パテル氏の投稿では、渡米に対して関心を示す人に対し「われわれが滞在場所を調整する(We will sort your housing)」との記載がなされていた。この件について労働党は、個人の立場でボランティア活動を行っていると説明している(「ロイター」10月23日)。
(松丸晴香)
(英国、米国)
ビジネス短信 e27749b321021e78