ステランティス、全米自動車労働組合と支部に対し追加で計10件提訴へ

(米国)

シカゴ発

2024年10月15日

大手自動車メーカーのステランティスは10月7日、10月3日の全米自動車労働組合(UAW)と同支部に対する提訴に加え、10月4日にUAWと23支部に対し追加で8件の提訴をしたと発表した。同社は、UAWがストライキの準備を進めていることが、2023年に締結した労使契約の違反にあたると主張していた(関連ブラック ジャック アプリ)。また同社は、UAWと10月5日に行った会談で、作業員に給与を支払い続けるという、廃止された制度「ジョブズ・バンク(Jobs Bank)」(注)を復活させるUAWの提案を拒否したことも明らかにした。

ステランティスは10月7日の発表の中で、「必要あれば、当社は本訴訟を結論が出るまで継続し、違法なストライキによる生産ロスで生じる1日当たり数千万ドルにのぼるであろう収益の損失やその他の損害について、UAWおよび各支部に責任を求める意向だ」と強硬な姿勢を示した。さらに10月8日には、前日に同社のデンバー部品流通センターでスト承認投票が賛成多数で可決されたことについて、「投票は無効で、その可決投票に基づいてストを実施することは違法になる」とし、10月7日の8件に続きさらに2件の追加提訴を行うと発表した。

UAWはこれまでに、労使契約の一部として盛り込まれている現在閉鎖中の工場への投資や製品生産が遅れていることで、組合員の雇用が進んでいないことなどから、8月にはステランティスに対する苦情(グリーバンス)を申し立てており(関連ブラック ジャック ルール)、10月3日にはロサンゼルス部品流通センターでストライキ承認の投票を実施していた。10月7日のデンバーでの投票は全米では2件目となるが、UAWは今後さらに多くの支部で投票を行うと示唆しており、ステランティスとUAWの関係は急速に悪化している。

(注)UAW会員の労働者は、解雇されるとジョブズ・バンクのリストに登録され、給与と福利厚生は引き続き支給されるという1980年代にゼネラルモーターズ(GM)が創設した制度。のちにフォード、クライスラーの労使協約に含まれた。自動車メーカーが追加の人員を必要とする際に呼び戻されるが、自動車メーカーにとっては大きな負担となり、ステランティスは、この制度が2009年にGMが経営破綻した一因となったとしている。

(星野香織)

(米国)

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